12話目 幼なじみと休日デート?!

「ごめんな、結局家まで送ってもらっちゃって...」


彼が持ってくれていたカバンを受け取り申し訳ないとうな垂れるわたしに彼は笑って「いいって」と言葉を続けた。


「暗い中、1人で帰るのは危ないしさ。それにお前、暗いのとかおばけとかダメじゃん。」


「なっ...いつの話してんの!い、今はおばけだって平気だし...」


「へ〜」とにまにま笑う彼に「なんだよ」なんて憎まれ口を叩いていると、後方からドアの開いた音がして


「めぐる〜」


と聞き覚えのある声がわたしを呼んだ。


「あ、隆都」


「もー、心配したんだよ!あんな派手に転ぶし...全く、めぐるは運動神経皆無なんだから、もっと楽なのに、すれば...」


言いかけた隆都がわたしの後ろにいる彼に気づき2人の目付きが鋭くなる。


「あれ?平井くん?どうしたの、こんなとこまで。部外者はとっとと帰ってくれる?それともストーカーなの?こわーい♪」


隆都の言葉に平井の額にピキっと青筋がうかぶ。


「悪いなー、今山口くんの妹と話してるんだ。そっちこそ妹の会話に混ざってこないでくれる?シスコンなの?」


180cmを超えているであろう高身長な平井とわたしより少し高いだけで160cmあるかないかの小柄な隆都との間に見えない火花が散る。


間でわたしがどうしようと慌てていると、後方にいた隆都から腕を掴まれる。


「めぐるも今日は疲れたよね?そんなやつほっといて、もうお家入ろ?今日の夜は僕がずっと傍にいてあげるからさ。」


「え、ちょ、隆都ー」


「あ、...め、めぐ、る!」


強引に隆都がわたしの身体を家へと引き釣り入れようとしたその時、彼に呼び止められ振り返る。


「に、日曜。10時に駅前集合な?」


突然の問いかけになんのことかと首を傾げていると彼が


「打ち上げ、今日の。お前倒れて行けなかったから。りょうが!!そうしようって!」


と続ける。


「え...ありがと...なんか気つかわせてごめんね。日曜日は何も予定ないから大丈夫だよ。ゆうにも、連絡しとくね。」


「そっか、...じゃあ、日曜日。」


どこか残念そうな表情の彼にわたしは「うん、日曜に...」と返す。


「ほら、めぐる、もう行こう!」


思い出したように引っ張る隆都に無理やり家の中へと押し込まれてしまう。


その直前、彼の口が「迎えに来るから」と言ったように感じたのはきっとわたしの気の所為だろう。

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