7話目 幼なじみと気になるあいつ
体育館にキュッキュという靴と床の摺れる音が響く。
まだ5月初めだと言うのに動いているせいか体育館の中は蒸し暑く感じた。
通らないパス、ゴールに入らないボール。
そもそもドリブルこそ上手く出来ないわたしはみんなの邪魔にならないよう端の方でパスカットをする“ふり”に徹するより他ならなかった...のだが...。
シュッと綺麗な円を描いてゴールに吸い込まれていくボール。
それを放った選手が満面の笑みでこちらを振り返る。
「めぐるー!みたー?僕シュート入れたよー!」
「はは、ははは...」
周りの視線が痛い...苦笑いすらできない...
さっきからこんな感じでシュートを決める度隆都がアピールしてくるせいで応援に来ていた女子からの視線が突き刺さってくるのだ。
しかも、何故か平井にまで睨まれているような気がする...。
まだ、大きなミスはしてないんだけどな...?
相手チームに点が入ったのにそれを褒めるようにしているのが気に食わないのだろうか...?
なんにしろ、早く終わって欲しい...
そんなことを考え体育館の天井のハリに挟まったボールを見ていると後方から
「めぐる!!危ない!!」
「ぐるちゃん!!」
という隆都やゆうの緊迫した声が聞こえてきた。
「...?」
振り返ったのもつかの間。
丸い影がわたしの顔めがけてすごい速さで突っ込み、目の前が真っ暗になった。
あぁ...早く帰りたい...
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