6話目 幼なじみと気になるあいつ

「...だめ。」


「えっ...」


わたしの言葉を遮るように後方から声をかけられた。


「ひ、平井...?」


そこには真っ直ぐにわたし達の方を睨む平井の姿があった。


「.....へー...君が...人気者の平井くん。」


隆都の目が一瞬鋭くなったように思えたが次の瞬間には元の胡散臭い笑顔を浮かべていた。


「なんか用?僕、めぐると話してるんだけど。」


平井の眉がぴくりと動く。


「.....クラス対抗なんだから、自分のチームのヤツらと仲良くしたらどうだ?クラスの人と仲良くなるのが目的なんだし。」


その言葉に隆都がゆっくりと満面の笑みを浮かべる。


「ご忠告どーも。じゃあ、また後でね。めぐる。」


隆都はそう言うとぱちんとウインクしてみせ、その場をあとにした。


残されたわたし達の間に重たい空気が流れる。


なんだか居たたまれなくなったわたしが「じゃ、じゃあ。」とその場をあとにしようとすると「あ、...」と後ろから手を引かれた。


「えー...」


「あ、...その...あいつとは、どうゆうー」


彼が何かを言いかけた時。

同時に「ぐるちゃーん」「こーすけー」と声が掛かる。


「あ...ゆう...」


「なんだよ、りょう。」


ゆうは平井とりょうに交互に目をやるとニンマリと笑い「もうじき始まるって。」と口を開いた。


本当に...面食いなんだから、ゆうは...

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る