5話 幼なじみとバスケットボール

「.......で...なんで、平井までバスケにいるの?!」


球技大会当日。

わたしは声を潜めてゆうにそう言った。

ゆうは首を傾げつつ


「さあ...普通に本人が選んだんじゃない?部活所属の人はその球技に出ちゃだめみたいだし...ま、私としては山口くんと高橋くんもいるし、目の保養になって最高って感じなんだけどね!」


ああ...この子に聞いたわたしが間違ってた...

わたしが頭を抱えていると、ふと体育館の壇上で平井の横に腰掛けていた人物と目が合う。


こちらの視線に気づいた彼もこちらに視線を送りひらひらと手を振ってくる。


そういえば...最近りょうとよく一緒にいるな...りょうがバスケ出るって言ったから同じのにしたのかな...?


そんなことを思いつつ目立たないよう控えめにりょうに手を振り返していると、後ろから誰かにトントンと肩を叩かれた。


「?...!?」


そのまま振り返ったわたしの頬に、ぷにっと誰かの指が突き刺さる。


「ははは、やっぱめぐる引っかかったー」


聞き覚えのある男子にしては高い声に顔をしかめる。


ふわふわの長めな栗毛色の髪。特徴的で大きな金色の瞳が楽しそうにこちらを見て笑っていた。


「隆都...」


ムカつくほど整った顔は年齢より少し幼めに見えて、イタズラっぽい笑顔とあってさらに彼の印象を幼くさせていた。


「なんだ、めぐるもバスケなら言ってくれればよかったのに。」


「.......はー...隆都、学校ではあんまり話しかけないでって...言ったよね?」


そう頭を抱えるわたしに彼は首を捻り上目遣いに「どうして?」と言ってきた。


「隆都が一緒にいると目立つから。また変な噂立てられたらこっちが迷惑するんだよ。」


いつも以上にはっきりというわたしに隆都がしょんぼりと肩を落とす。


「ちぇっ...でも、たまになら、話しかけてもいい?」


いかにもなぶりっ子攻撃。

今にも「きゅるん」という音が聞こえてきそうなくらい口元に手をやり、すましてみせる彼にわたしは「はぁ...」とため息をつく。


「しょうがないな...なるべく人のいないところでならー」


「...だめ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る