4話

「めーぐる。久しぶり。」


翌日。今日も天気のいい昼下がり、彼は声をかけてきた。


「え、あ、...りょう...くん。久しぶり。」


「あはは、昔みたいにりょうでいいよ。」


お昼ご飯を食べに中庭に出てきたわたしはゆうが購買から戻ってくるのを待ちつつ日向ぼっこをしていた。


そんな中突然話しかけられたものだから戸惑っているわたしに彼は「となり、いい?」とわたしが腰掛けていたベンチを指さした。


「え、あ、うん、」


わたしのその答えを聞くと彼は優しく微笑みわたしのすぐ隣に腰を下ろした。


近いな...とわたしが若干距離を取ろうとするとまるでそれを阻止するように彼は距離をつめ口を開いた。


「めぐるは球技大会、何にするか決めた?」


「えっ、えっと...」


みんなこの話題がすきだな。

わたしは少し迷いつつ、「ま、まあ...」と小さく微笑み返した。


「おー。なになに?」


「え、あ、いや...ゆうが...バスケって言ってたから...一緒に、バスケ、出ようかと...わ、わたしが出ても、迷惑に、なるだけ、だよね...」


自分の言葉に肩を落とすわたしにりょうはキョトンとした顔で首を傾げた。


「なんで?内申には関係しないんだし、自分が楽しめればそれでよくない?」


「えっ...」


わたしが顔を上げるとすぐ近くにりょうの顔があり思わずバッと顔を下げる。


「そ、そうかな?」


「そうだよ。それにめぐるは自分のこと卑下し過ぎ。別に誰も迷惑だなんて思わないよ。」


りょうの言葉に再び顔を上げたわたしに丁度渡り廊下から降りてきたゆうが「お待たせー!」と声をかけてきた。


「.......じゃ、俺お邪魔みたいだから行くね。」


そういい立ち上がるりょうに「え、あ、」と声にならない声をかける。


そんなわたしに彼はくすりと笑みを浮かべると


「俺も球技大会はバスケ出るつもりなんだ。同じチームなんだし、お互い頑張ろうぜ!」


と手を振り校舎の方へと消えていった。


「あれ...今の、同じクラスの高橋くん?」


購買から帰ってきたゆうがりょうと入れ替わりで隣に座りつつ彼の消えていった方を見やりそう行った。


「あ、うん...ゆう知ってんの?」


「知ってるも何も!サッカー部でも平井くんの次に人気あるんだよ!それに硬派な平井くんとは違って遊び人な感じがまたかっこいいよねー!!」


「遊び人って...」とツッコミを入れつつりょうってそんなに人気あったんだ...と彼の歩いていった方に目をやる。


バスケ...やっぱ辞めようかな...


そんなわたしの頭の上では何もしない太陽がキラキラと輝いていた。

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