空と星
上原美樹
第1話
神話
空と海は むかし ひとつのものだった
いま 離れ離れになって
乞うて 乞うて 乞うている
渇き 飢えている 朝と夜の キリキリの時間
その一瞬だけ ほおよせ ささやきあう
神は 私からあなたを切り離し
あいだに星を置いた
星は 私を 食み続ける 私がどんなに苦くても
星は 私を食み続ける星が 私に触れるとき
頬を染めているように見えてしまうから
わたしは 漆黒のベールのむこうに 身を隠す
自身の涙で 星の形で穴があく
空と海は ひとつだった
誰もが羨むくらい 仲良し だからこそ
誰も彼も羨んだので 神は 切り離した
涙は あふれ とめどなく とめどない涙は 光に変わる
私を照らす 太陽がどこかへさったあと
私は あなたに つたえよう
そばにいることを
ささやかな 波の音をもって 一つだった
神様によって 引き離されて
気の遠くなるほどの時間を 過ごしてなお
お互いを 乞うているから
どこまでも しずかに ひろがる うすい青色
空と星 上原美樹 @ky1127
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