第32話 事件の終わりの始まり
さて、この一週間での変化を述べよう。
この一週間、
他にも、
もちろん
◇ ◇ ◇
そして昼休み。情報交換を兼ねて俺は
あの日以降、俺たちの憩いの場が共同の会議場所となっている気がする。
「それで、どうしでしたか?」
「そうね、わたしのクラスではもう噂を信じている人はいないようだけど、犯人はわからないわ」
「私もです。犯人さんの姿は見えなくて……」
九条院先輩の言葉に一之瀬さんは頷いて、「なぜか友達ができました」と小さく笑みを浮かべた。
俺の噂が切っ掛けで後輩の友好関係を広げられたのは、まぁ先輩として嬉しい。
怪我の功名、ってやつかな。
そんな情報交換をしながら昼食を摂っていると、突如扉が勢いよく開け放たれた。
現れたのは鳴美。確かこの時間は友達と昼食を共にしているはずだが、それがなぜか息を切らしてここにいる。
「鳴美、どうかしたのか──」
「けーくん!」
どうしたのかと尋ねようとしたところで、鳴美は慌てた様子で駆け寄ってきて俺の手を掴んだ。
顔が近いせいで、鳴美の荒い息が掛かってくる。ウザいし熱い。
「おい鳴美、一旦落ち着け」
そう促すと鳴美はコクンと頷いて深呼吸を何度か繰り返し、
「犯人がわかったの!」
「──は?」
今回の事件は、思いもよらぬの展開でエンディングを迎えるのであった。
◇ ◇ ◇
担任のやけに長い話を聞き流し、終礼が終わって放課後。俺は鞄を置いたまま教室を後にした。
急ぎ足で向かうのは二年F組。俺たちB組からは結構離れた教室。
そこに、俺のありもしない噂を流した犯人がいる。
周りに気を付けながら急ぐこと一、二分。俺は二年F組のクラスに到着した。
既にその教室の前には、薫と九条院先輩、一之瀬さんが集合していた。俺に遅れて、鳴美と大和もやって来る。
ここにこのメンバーが集まったのは当然、犯人を逃がさないためだ。
二年生の教室がある三階は、一年生と三年生の階に挟まれており、同じ階には俺たちがいる。つまりどこかへ行こうにも、俺たちのどれかと被ることになるのだ。
だから俺たちは、犯人を逃がさないためにも通路を潰しながらこの教室へと集まった。
俺たちは顔を見合わせ頷き、ゆっくりと教室の扉を開く。
視線が集まる。当然だろう、やや鎮火し始めているとはいえ、それはまだ一部のクラスだけ。噂の当事者である俺たちが集まると、なにも知らない噂を信じている者は驚くに決まっている。
それに、このクラスにはその噂を流した張本人がいるもんな、そいつから直接聞いた連中は特に驚いているだろう。
予想通りのリアクションに満足しながら、俺は一人教室の中を進む。
一歩、また一歩と犯人との距離が縮まる。みるみるうちに相手の顔が青くなっていく。
そして俺は、犯人の目の前で立ち止まった。
「やぁ、
声を掛けると、女子生徒──駒井もみじは動揺を露にした。
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