第3話「その先の真実」
◆第9節 春海烈斗とレイの正体◆
それは、俺が
「おや、観戦者が来たみたいだ」
「来るな少年!下がっているんだ!」
──それから何が起きたかは、ほとんど覚えていない。ただ一つわかっているのは、俺が来たせいでシカマスクが……陣さんがやられたということ。陣さんは、俺をかばおうとしてレイに敗れた。俺は夢中で烈風に乗り、助けを求めて喫茶こもれびへと駆け込んだ。
「は、春海!?」
「どうしたんだ?烈斗!」
勢いよくドアを開けて入ってきた俺に、店内の人々の視線が一斉に集まる。
「レイが現れて、シカマスクがやられた……!」
──俺たちはレイと戦う準備を済ませ、すぐに現場へと向かった。周辺の住民と思しきおばさんが3人ほど集まって陣さんを囲んでおり、レイの姿は見当たらない。
「えっ、陣さん……?」
闘也の反応を見て、俺は彼らに「シカマスク」としか伝えていなかったことを思い出す。同時に、陣さんが脱ぎ捨てたはずのマスクがなくなっていることにも気がついた。レイが持ち去ったのだろうか。
「とにかく救急車を!」
「私が呼ぶ!」
その場に居合わせていたはずの俺が呆然と立ちすくむ中、岡崎たちは手早く対応を進める。
「脈はある……かえでたちと同じで、死んでいるわけではないみたい」
「ん?……臨、それ何だ?」
「え?」
闘也が陣さんの腕を持ち上げ、手袋の下から紙切れを引っ張り出す。広げてみると、そこにはボールペンで「レイ──三原優」と書かれていた。
「これは……陣さんが残したメモ?」
「これ、どういう意味だ……?レイと優にぃに何か関係があるのか?」
そこへ救急車が現れ、現場が騒がしさを増す。結局俺は何もしないまま、陣さんが運ばれていくのを黙って見ていることしかできなかった。
──喫茶こもれびに戻ってきた俺たちは、作戦会議を始めた。議題はもちろん、陣さんの手袋から出てきたメモの内容だ。「三原優」という人物はよく知らないが、岡崎たちにとっては身近で親しい人らしい。一応、俺も顔を見たことはある。
「これ、優にぃとレイに関係がある……ってことなのか?」
「優にぃがレイの協力者……?」
「あるいは、レイの正体が優にぃってことかもしれない」
「いや、さすがにそれは……」
たった一枚のメモを巡る話し合いに、俺は口を挟めずにいた。別に部外者ではないはずなのだが、何を言えばいいのかまるでわからない。
「あのさ、その優って人、臨たちの知り合いなんだよね?」
俺の後ろに座っていた見知らぬ少女が話に参加した。隣にいる少年と共に、さっき現場に向かう時にもついてきていたので、何かしらの形でレイと関わっているのだろう。
「だったら、連絡手段とかないの?」
「……なるほど」
臨がポケットからスマホを取り出して操作を始める。
「待てよ臨。お前、優にぃに何て言うつもりだ?」
「そうだよ。もし優にぃがレイとグルだったとして、正直に言うと思う?」
岡崎たちの言うことももっともだ。レイは神出鬼没で、俺たちはこれまで奴について何も掴めていない。優という男がレイに関与しているとしても、簡単に言うとは思えない。
「みんなは、あのメモは本当に陣さんが書いたものだと思う?」
臨が口を開いた。その声は低く落ち着いていて、覚悟のようなものが込められているのを感じる。岡崎たちも黙り込み、それぞれの考えをまとめ始めたようだ。
「確かに、陣さんがやられてから私たちが向かうまで、それなりに時間はあった……私たちを混乱させるためにメモを入れられた可能性はあるね」
それを聞いて、俺は自分が責められている感覚に陥る。ただでさえ陣さんがやられる原因になったというのに、すぐにその場から逃げ出し、陣さんを放置してしまった。結果としてレイの正体に関する重要な証拠が信用できるものなのかどうかが決められないという最悪の状況だ。俺はあの時、どうするのが正解だったのだろうか……。
◆第10節 在原絵理香と新たな動き◆
「これで、よし……じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃいませー……」
帆布製のトートバッグに必要な資料とノートを詰め、私は代わり映えのしない研究室から外に出た。今回の目的は、妖狐の調査だ。
“妖狐”──日本や中国に古くから伝わる、キツネの妖怪。でも、その立ち位置はほかの妖怪たちとは大きく異なり、お稲荷様の眷属として扱われていたり、日本各地に伝説が残されていたり、「きつねうどん」や「狐の嫁入り」のように一見何の関係もないはずのものに名前を使われたりしている。それだけ日本の社会において「狐」というものは重要で存在感のあるものなのだろう。もちろん、それは生物学者である私にとっては無縁の、ただの伝説だと思っていた。……あの日までは。
今から3週間ほど前、私はとある事件に巻き込まれた。一通り説明を聞いた今でもよくわかっていないので詳細は省くけど、そこで私は妖狐──といってもキツネではなく、小学5年生の女の子の姿をしている──に出会ったのだ。空想上の生き物だと思っていた妖狐が、目の前に実在している……その事実は、私の知的好奇心を強く刺激した。かくして、私は研究テーマに「妖狐」を組み込み、彼女から妖狐についていろいろと話を聞くことにしたのだ。
住宅地の中に佇む、「都」の表札を掲げたシンプルな家。なんだか懐かしい感じのするこの建物が、この涼風市に古くから棲む妖狐・白狐かえでが暮らしている場所だ。
「──はい」
私がインターホンを押すと、素朴でかわいらしい声の女の子が出た。かえでちゃんの“双子の義姉”、さくらちゃんだ。
「あ、さくらちゃん?絵理香だけど、かえでちゃんいる?」
「……かえでは……」
その声には元気がなく、消え入るように途絶えてしまった。どうしたのかと思っていると玄関が開き、さくらちゃんが外に出てくる。
「絵理香さん……かえでのこと、見てやってくれませんか」
さくらちゃんに連れられて彼女の部屋に入ると、かえでちゃんはベッドの上で眠っていた。よく見ると、床の上には黒いキツネも横たわっている。もしかして、こっちも妖狐なのだろうか。
「かえでと七星が、レイにやられて……」
さくらちゃんが泣きそうな顔で語り始める。「七星」や「レイ」といった名前は以前にも聞いた気がするが、具体的にどういうものなのかよく知らない。彼女の話した内容を私が理解できる範囲で大雑把にまとめると、この二人は先週レイという敵にやられて以降、眠っているとも死んでいるともつかない状態にされているらしい。私が見てみた感じでは二人とも脈があるし呼吸もしているけど、呼びかけても一切反応しないし、自分の意志で体を動かすことができないようだ。
「レイは『目的が達成できたら元に戻す』って言っていたんですけど……」
「……それで、その後は?」
「その後?」
「何か動きはあったの?」
「いえ、何も……」
レイの言う「目的」とやらは知らないけど、1週間も待って何も動きがないなら、よほど時間のかかることか、そもそも手を付けていないかのどちらかではないだろうか。私もよくタカジョーが「時間のある時にやる」と言って結局ギリギリまで着手しないのを見ている。だから、もしかしたらレイも、という気になるのだ。
「よし、文句言いに行こっか」
「え、誰に?」
「レイに」
きょとんとするさくらちゃんをよそに、私はバッグを手にして立ち上がる。さくらちゃんは何か言いたげに私とかえでちゃんたちを交互に見るけど、私が部屋を出ると慌ててついてきた。
「あの、どこに行くつもりなんですか?」
「レイのとこ」
「どこですか?」
「……知らない」
さくらちゃんが、信じられないバカを見るような目で私を見つめる。やめて、そんな目で私を見ないで。
「……臨ちゃんたち、何か知らないかな?」
「一応、レイについて調べてはいるみたいですけど……」
「じゃあ、そこに行こう」
さくらちゃんが嫌そうな顔をする。
「別についてこなくてもいいよ」
「あ、いえ……私は行くつもりなんですけど、ちょっと嫌な予感がして……」
「嫌な予感?」
「なんか最近、ずっと誰かに見られているような気がするんです。かえでたちがやられてから、ずっと……」
気のせいだよ、と言おうとしたけど、そうではないのかもしれないと思い直した。レイは何らかの「目的」を持って動いていて、そのためにかえでちゃんたちを襲った。ならば、その関係者であるさくらちゃんが狙われていてもおかしくはない。
「……この辺に誰か知り合いはいる?」
「えっと、陽介さんが少し先に住んでいます」
「じゃあ、ボディガードをお願いしようか」
そんなわけで、私たちは陽介君の家に寄ってから、彼と共に喫茶こもれびという店を目指した。
◆第11節 前田樹と運命◆
8月8日──僕がこの日を迎えるのは、ここ最近では2回目だ。前回迎えたのは、タイムマシンで向かった20年前の1996年8月8日。その日は店長の奥さん・衣谷飛鳥さんの誕生日だった。もちろん、20年経った今日もそのはずだ。特段何かを用意しているわけではないが、顔を合わせるタイミングがあれば一言お祝いの言葉を伝えるつもりでいる。
「あの、店長。臨ちゃんたちは?」
「ああ、多分いつもの森にクワガタを取りに行ってるよ」
「……クワガタ?」
「臨は毎年、飛鳥の誕生日にはクワガタを捕まえてプレゼントするんだよ」
「……なんでクワガタなんですか?」
「臨が小学1年だか2年だかの時に誕生日プレゼントを用意し忘れて、当日慌てて森にクワガタを捕まえに行ったんだよ。それ以来かなぁ……」
なんというか、よくわからない。用意し忘れたからといってクワガタをプレゼントしようとするのも、毎年それが続けられているというのも、僕の価値観では理解しがたい。けど、彼女には彼女なりの想いがあってやっていることなのだろう。
「……静かですね」
「そうだねぇ」
月曜日の午前。夏休みの子供たちはあまり喫茶店には来ないし、仕事がある人たちは昼休みまで来ない。いつもいる臨ちゃんたちは不在だし、毎日のように訪れる陣内さんも……。
「陣内さん、大丈夫なんですか?」
「陣さんねぇ……心配だけど、僕らにはどうしようもないからねぇ」
昨日、僕たちのもとに衝撃的な出来事が飛び込んできた。この店の常連客である陣内広鷹さんが、近所の路上で意識不明の状態で倒れていたのだ。といっても身体的な外傷はなく、命に別条があるわけではない。しかし、だからこそ原因不明で不可解な症状となっている。詳しい話は聞けていないが、臨ちゃんたちは「レイにやられた」と話していた。レイ……先月現冥境が開いた際に現れた、黄色い浴衣と奇妙な面を着けた人物。昨日陣内さんが病院に運ばれた後、彼らはレイの正体についてあれこれ話し合っていた。その話によると、同じく常連客の一人である三原さんが関係しているとのことだった。
──僕は正直、一連の出来事は自分とは無関係なものだと思っていた。僕はたまたま居合わせただけの傍観者に過ぎないのだ、と。だからこそ、自分にとって身近な人物である陣内さんや三原さんが関与していたということに驚きを隠せない。僕はかつて「運命」という言葉を、「偶然」を都合よく解釈しただけのものだと思っていた。でも、この店で働き始めて、いくつもの奇妙なものを目にし、僕自身もタイムマシンで過去に行く体験をして、その考えは変わった。この世界には「運命」と呼べる何かが存在していて、それが僕らを導いているのではないかと思うようになったのだ。
「まあ、命に別状はないらしいし、そのうち元気になると思うよ」
店長の表情は、うっすらと曇っている。口ではそう言っていても、やはり心配なのだろう。
「ただいまー」
店のドアが開き、臨ちゃんたち5人が入ってくる。うち2人は、先週からこの店で生活している異世界人だ。その意味はよくわかっていないけど、考えないことにした。
「おう、おかえり。クワガタいた?」
「それが、全然見つからなくてさ……」
どうやら、今年の誕生日プレゼントは確保できなかったらしい。そもそも、クワガタってもっと早い時間帯に探すものだと思うんだけどな……。
「こんにちはー」
「あ、絵理香さん。それに陽介さんとさくらちゃんも」
見ると、彼らに続いて3人の人物が入ってきた。いずれも現冥境が開いた現場に居合わせた人々だ。その顔触れを見て、さっきまで考えていた「運命」という言葉が再び浮かんだ。彼らがこの場に集まったのは偶然などではなく、何者かの意図によるものなのではないかという気がしてくる。
「おー、随分賑やかだな」
さらにそこへ、もう一人の人物が現れる。──三原さんだ。
「優にぃ……」
臨たちの表情から、笑顔が消える。
「え、なに……?俺が入ってきちゃまずかった?」
しばらくの間、辺りに沈黙が広がる。それを打ち破ったのは臨だった。
「優にぃ……君が、レイなの?」
「……えぇ?なに?何の話?」
三原さんは戸惑い、辺りを見回す。臨はその手首を掴み、さらに続けた。
「優にぃ、僕の目を見て答えて。……君は、レイなんだよね?」
「知らないよ!何からそういう話になったんだよ!」
「嘘だ。優にぃは嘘をつく時、一瞬だけ視線が右下を向く。……この間の空の玉の話の時もそうだった」
「……やれやれ、やっぱり君を騙すのは難しそうだ」
三原さんはそう言って、すぐ横のボックス席に腰を下ろした。その右足首に黄色のアンクレットが現れ、瞬く間にレイへと変身する。
「はろー」
「……本当に、優にぃが……」
皆美の言葉はそこで途切れた。闘也たちも声を失っているし、もちろん僕も何も言えなかった。
「優にぃ、君の目的は何?」
「悪いけど、それに答えている暇はないんだ。僕は君たちと戦わなければならない」
立ち上がったレイの手元に、一本の槍が出現する。あれが陣内さんを倒したという“大蛇の槍”……?
「アカネ、下がって!」
店内の空気が緊張感に支配され、全員がレイを鋭く睨みつける。
「やれやれ、これはあんまり使いたくなかったんだけどね……」
手にした槍をゆっくりと動かし、その軌跡に残像が現れる。かと思うと、それらが同時に床の上に落ち、体長2mほどの8匹の蛇へと姿を変えた。その尾には槍の穂先と同じ刃が付いている。まさか、これ全部が槍と同じ力を……?
「行け、オロチたち」
レイが静かに言い放つと、蛇は一斉に襲いかかってきた。そのスピードは僕が蛇という生き物に対して抱いていたイメージと違って素早く、僕たちは身を守ることに徹するしかなくなる。
「召喚、縦横無尽!」
さくらちゃんがそう叫び、光の玉が集まってできた式神が蛇を2、3匹弾き飛ばした。が、何事もなかったかのように起き上がってまた襲いかかる。
「アカネ、今のうちに逃げて!」
しかし、アカネはその場に立ちすくんで動かない。その表情は恐怖で凍りついているようだ。
「ふふっ……怖いよね、アカネ」
レイが不敵に笑う。
「このオロチは、かつて君を殺した蛇を模した式神。君の根源たる“恐怖”の象徴。最強の幽魔と言っても過言ではない君の、唯一の弱点だ」
アカネは何かを言い返そうとしているようだが、震える唇から漏れ出る声は言葉を紡がない。
「さて、終わりにしよう」
蛇を押しのけた闘也が飛び掛かり、レイに組み付いて槍を奪おうとする。だが、あっさりと振りほどかれ、闘也は椅子と共に吹っ飛ばされた。瞬きをする間にレイはアカネの正面へと移動し、鋭い一撃がアカネの腹部を貫く。
「しまった!」
「アカネさん!」
「──かはっ……」
アカネは膝から崩れ落ち、その体が溶けて二つの赤い球体へと分かれる。レイがそのうちより淡い赤色──紅色の方を拾い上げると、球体はリング状に姿を変えた。
「──んなっ!?」
突然、紅色のアンクレットがレイの手を離れた。それはレイにとっても想定外だったようだが、誰の仕業なのかはすぐにわかった。
「臨ちゃん!これ!」
蛇に締め上げられながら絵理香さんが叫ぶ。確か、彼女は手を触れずにものを動かせるんだったか。絵理香さんによってレイから取り上げられた紅色のアンクレットは、そのまま臨の手へと収まった。
「くそっ……」
「縦横無尽!」
アンクレットを取り戻そうとするレイの行く手を、さくらの式神が阻む。さらに臨に襲いかかろうとする蛇の群れを、翔太さんが抑え込んだ。
「臨ちゃん!今のうちに!」
「はい!」
臨は素早く店の入口に向かい、ドアを開けて飛び出した。縦横無尽の手を逃れて彼女を追おうとするレイの前に、闘也が立ちはだかる。
「行かせねえよ……!」
◆第12節 衣谷臨とその先の真実◆
喫茶こもれびを飛び出した僕は、何も考えずに森へ向かっていた。頭の中は、まだ「レイの正体が優にぃだった」という事実に対するショックで満たされている。僕はそれに対してハッキリとした確信を持っていたし、覚悟もできていたはずだった。でも、いざ目の前で優にぃがレイに変化するところを見ると、想像を超えた衝撃を受けてしまったのだ。
……いや、僕が本当に恐れているのはそこじゃない。その先の真実──“優にぃの正体”だ。彼がレイとして行動し、僕たちの前に立ちはだかる理由。もしも優にぃがただの人間であるならば、こんなことをする意味はないはずだ。きっとそこには、僕たちが知るべきではない、“本当の目的”が存在している……そんな気がする。
「ソラ、このアンクレットを着けたらアカネと話せる?」
≪いや、多分それは魄……アカネの魂は、残されたもう一つの方だと思う≫
「そっか……レイが現冥境から取り出していたのも、ソラの魄だったよね?」
≪そうだね、あれは僕が300年前に失った魄だ≫
「……レイは、ソラとアカネの魄を手に入れて何をするつもりなんだろう?」
≪わからない……ただ、僕もアカネも強大な力を持っているから、使い方を誤れば危険なのは間違いない≫
気がつくと、僕たちは木漏れ日の森の中にいた。無我夢中で走っていたら、ここに辿り着いていたのだ。……レイはきっと、紅色のアンクレットを求めてここまで追ってくる。それまでになんとかして迎え撃つ手段を考えなければ。
僕は空の玉を握って、強く念じた。ゆっくりと青色の空間が展開され、無音の領域が広がってゆく。
≪臨、何をしてるの?≫
「この間、レイはどこかから妖力を供給してるって言ってたよね。この結界の中なら、それを断ち切れるかもしれない。それに、こうしておけばレイが近づいてきてもすぐに気づけるはずだ」
僕はその場に座り込み、ゆっくりと呼吸を整えた。風が入ってこないから、木々の葉もほとんど動かない。まるで時間が止まってしまったかのようだ。
≪レイは……僕に似ている気がする≫
「似ている?」
≪うん……うまく言葉にできないけど、レイを前にした時、僕とよく似た強い意志みたいなものを感じることがあるんだ……≫
ソラと似た強い意志……どういうことだろう?
≪ねえ、臨……≫
「なに?」
≪君は一体……誰と話しているの?≫
「え?誰って……ソラでしょ?」
≪違う、僕じゃない。今の“意識”の主は……臨、君じゃないのか?≫
今私が話していた相手は、ソラではない?じゃあ、誰が?まさか、私の中に私とソラ以外の何者かがいるとでもいうのか……?
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