第5話 棍棒を持つ司祭
男は町長に言われたとおり教会へ。
町長宅のすぐ近くにある、回廊、柱廊を備えた以外に大きい聖堂。
中に入ると、祭壇の横に立っていた司祭が振り返る。手には不釣り合いな巨大な棍棒を携えている。男は町長に城へゆけ、その前に教会に行くようにと言われたことを彼に伝える。司祭は聖堂の扉を閉ざし、城にゆくか、街に逗まるか。街に逗まるなら、あなたはあなたの影を潰さねばならない、と云う。高い天窓から差し込む光が、男の影を床に浮かび上がらせ、男の姿本体は闇に隠れる。
司祭は凶暴なまなざしで、棍棒を掲げ、男の影に振り下ろす。男は飛び退いてそれが影に当たるのを避ける。聖堂の床は砕け、罅割れる。
司祭は言う。あなたは街にとどまることはできない。森にひとりで入り、城へ向かいなさい。ただ森にはひとりだけではいらねばならないが、城には、ひとりで辿り着くことはできない。
そして、聖堂の扉は閉ざされ、男は外に出る。
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