第4話 樹海に浮かぶ城

町長の家に着き、呼び鈴を鳴らす。

矍鑠とした、初老の女があらわれる。

彼女は記憶をなくし、裸一貫で森にいたという男の話を聞き、じっと、錐のような鋭いまなざし。穴が開きそうなほど男を見つめる。

あんたは城を目指すといい。そう言って物見櫓へと男をいざない、樹海のかなたに見える城を示す。

櫓を下ると、だが街の外へ行く前に教会へゆくように言う。司祭に会え、と。

男はうなずいて家を辞す。

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