その4 古いイメージ

 さらに通路を進んでいく。

「最低後二つ仕掛けがあって、さらに何かアイテムがある様だな」

 通路がまた広がって広場状になった。

 つまりは次の仕掛けがある場所らしい。


「取り敢えず展開!」

 お馴染み折りたたまれた空間を探す魔法だ。

 うわ、めんどくさい図形が現れた。

 この場所自体がまともじゃない構造になっている。

 わかるけれど理解できない形だ。


「超立体、正八胞体の部屋か」

 朱莉さんにはそれでも理解できたらしい。

 北町先生も頷いている。


「これは普通何かを四次元的に閉じ込める場合に使う術式ですね。閉じ込めているのはおそらくこれでしょう」

 イメージは出来るが目で見ると混乱する図形が中央にある。


「これまた超立体、正百二十胞体か。面倒だから叩き潰すぞ」

 朱莉さんは右手に現れた巨大な魔法杖でその怪しい物体を思い切りぶん殴る。

 力づくだ。

 物体は殴られると同時に多数の正十二面体に分裂した。

 その中に何かが見える。


「破邪!」

 北町先生が杖を構え魔法を発射。

 その何かに命中する寸前。

 俺の視線とその何かの視線が交錯した。


 突然気温が25度くらいに上昇した感じ。

 辺りもほんわり明るく感じる。

「じゅらくよーん」

 半裸の女性がそんな事を言って踊っている。


 何だ此処は。

 それに女性が出てくるならもっと貧乳体型で頼む!

 あと踊りもテンポが古いぞ!


 どうせならロリロリな魔法少女が欲しいぞ。

 出来れば集団で。

 プ●キュア大集合なんて最高だ。

 ただキュ●アンフィニ! 

 お前はいらない。

 男だからな。


 そう思った瞬間、ふっとその怪しい状態は消える。

 元の怪しい空間に戻っていた。


「何だ今の」

「奴が歪めたイメージの残滓が残っていたようだな」

 燃え尽きたさっきと同じ手ぬぐいが見えた。

 それにしても今のが歪めたイメージの残滓なのか。


「なにやら随分と古かったな」

「古い魔女にとって五十年くらいは最近だからな」


 うーん。

 信長さんに言わせると人生終わっているぞそれは。

 下天的なセンスなのか。


「しかし便利ですね、その展開魔法」

 北町先生にそう言われる。


「特に意識しないで出てきたんだけれどな」


「地魔法単体では出てこない魔法ですね。これは」

 そうなのか。


「地魔法単体なら人にわかりやすく表示するとかそういう機能は付かないですから。天の魔法、それも情報系との混合です」

 なるほど。

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