第24話 悪魔の印形

その1 狂乱の教室

「どうした。疲れ切った顔をして」

「目にクマが出来ているけれど大丈夫」

 自席につくなり知佳と翠さんにそう言われてしまった。


「大した事じゃ無い。気にしないでくれ」

「ならいいけれど」

 まあそんな感じで学校生活が始まる。

 授業も五月の天候にふさわしいうららかな感じ。

 大いに眠気を誘う。

 そんな訳で元々ボロボロな俺はほぼ意識を失っていたところだった。


 ふと教室がざわつく。

 何だ、もう授業が終わったのか。

 チャイムは聞こえなかった気がするが。


 見ると知佳がこっちを見ている。

 それだけなら良くある光景なのだが状態が何かおかしい。

「蒼生」

「何だ知佳、大丈夫か」

 何か異常にハアハアしているぞ。


 気づくとどうもおかしいのは知佳だけでない模様。

 彩葉ちゃんも席を立ってこっちにやってきた。

「何か私、駄目みたい。何か我慢できない」

 何だろう。

「何なら保健室つれていってやろうか」


 なおこの台詞までに俺、知佳に翠さんに彩葉ちゃんに亜紀乃さん夏美さん美夏さんと取り囲まれている。

 何だ、怖いぞ。


 ドタドタという音が聞こえた。

 右前方やや遠く、多分喜平君の席の辺り。

 でも何が起こったかを見る余裕は全く無い。


「やっぱり女子校に近い環境で蒼生みたいなちょうどいい男子がいるのって、大変だよね。我慢できなくなりそうで」

 何だ亜紀乃さん、君はそういうキャラじゃなかっただろう。


 ドタ、バタバタバタと何かが教室外へ逃げていく音がした。

 喜平君の席の辺りだが確認する余裕はやっぱり無い。


「それではみんなで」

「いただきます……」

 女子が迫ってくる。

 こらズボンに手をかけるな!

 ワイシャツを脱がそうとするんじゃ無い!

 誰だ頬を舐めたの!


 俺は何とか女子達を押しとどめようとする。

 おっと亜紀乃さんの胸に触ってしまった。

 案外柔らかくて大きいなこれ。

 大きいのも案外触る分にはいいものだ。

 いやそう賞味している場合じゃ無い!


「こら知佳ズボンを下ろそうとするな」

「だって下半身脱がせなきゃ出来ないでしょ」

 出来ないって何をする気だ何を。

 ズボンに両手を持って行ったので上半身の防御がおろそかになる。

 そのすきに外されるワイシャツのボタン。

 肘で脱がされるのを防ぐと背中に何かの感触。

 この柔らかさはもしや……


「当ててるの。ちなみに生よ」

 亜紀乃さんそれですか!

 見ると外されたブラが机の上に置いてある。

 おいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!!!

 いくら俺が貧乳教徒でも限界があるぞ。


 やばい、ズボンの下が。

 今ズボンを下ろされると思い切り上向きで反り返るぞ。

 俺、一世一代の危機!

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