その2 幸せの重さ

 映画館でチケットを買い終えたところで無事知佳と合流した。

「知佳、遅い」

「ごめんごめん、ついいつもの休日のつもりで二度寝して」

「まあ間に合ったからいいじゃないですか」


 和花ちゃんがいると二人の間もギスギスしない。

 確かに和花ちゃん可愛いものな。

 彩葉ちゃんも知佳も悪くは無いけれど、やっぱり三歳の差は偉大だ。

 ロリは世界を救う。


 映画館の中に入って指定された席へ。

 席は四人並びだがここで一悶着。


「まず蒼生、ここに座って」

 まず右から二番目に俺が強制的に座らされる。


「そしてここが和花ちゃんなのはいいよね」

 右から三番目に和花ちゃんが座らされる。


「さて、残りの席だけれど、知佳は遅刻したから私が蒼生の隣ね」

 ささっと座ろうとした彩葉ちゃんを知佳が捕まえる。

「ちょっと、それずるい」


「でも遅刻したのは事実でしょ」

「それとこれは関係無いじゃん」

 ああまた争いか。

 そう思ったところで和花ちゃんが席を立つ。

「知佳さん、この席どうぞ」


「えっ、でも和花ちゃんが」

「私はここにします」

 和花ちゃんはちょこっと移動して。

 すとんと俺の膝に座った。

 何だこの極楽。


「お兄ちゃん、大丈夫ですか」

「全然大丈夫だよ」

 むしろ思い切りご褒美です。


 知佳が苦笑している。

「やられたな、これは」

「そうね」

 そんな訳で一座席開けたまま映画鑑賞開始。


 うん、映画の内容が全然頭に入らないぞ。

 両腿の上から胸くらいにかけての感触と温かさが極楽過ぎて。

 一応両足は膝を揃え、かつ膝をやや高めにしている。

 その方が和花ちゃんが座りやすいだろうし。

 あとちょうど俺の両手に和花ちゃんの手が触れる辺りも最高。

 このままなら何時間過ごしてもイイ。

 いや、我慢に限度があるかも。

 襲っちゃいそうで。


 和花ちゃんの感触と体温にエヘエヘしているうちに映画は終わってしまった。

 でもエンドロールが終わるまでしっかり感触を堪能する。

 なんならこのままもう一本同じ映画を見てもいい気分だ。

 指定席で入れ替え制だから無理だけれども。


 和花ちゃんが立ち上がったので夢の時間は終了。

 仕方無く俺も立ち上がる。

 ちょっと足の一部がしびれ気味だがこれもご褒美だ。


「次は何処だっけ」

「にゃんこカフェだよ」

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