第22話 3対1のデート
その1 ツンデレと仮想妹
前日の捜索及び調査の結果、俺の水着はレンタルに決定した。
「水着か、水着に使える適当な短パンは無いか」
箪笥等を漁った結果まともなのが無かったので朱莉さんに聞いてみる。
「赤フン、溶ける水着、もっこりビキニパンツ等各種色々揃えてあるぞ」
「確かに色物系は色々出てきたけれどな。混浴温泉なんかに使えるまともなのは無いのか」
「あるので我慢しろ。何なら魔法で一般人から隠せ」
「魔法使いには丸見えだろうが」
「それもご褒美だろう、お互いに」
「だが断る」
そんな論議の末の結論である。
翌朝八時四十分、タオルとか最小限の持ち物をウエストバックに入れて出発。
今の箒だと五分もかからずに駅に到着する。
やっぱり女の子を待たせちゃ悪いからな。
そんな訳で駅近くの路地に到着。
箒をしまってそそくさと駅へ。
まずい、既に彩葉ちゃんと和花ちゃんが到着している。
あわてて走り寄る。
「ごめん、待たせた」
「いえ、私はちょっと愉しみすぎて早く出てしまったので」
「でも駄目よ。こんな可愛い子待たせるなんて」
「確かに」
謝るついでに気になった事も聞いてみる。
「それにしても彩葉も随分早く着いたんだな」
「何よ。別に楽しみだったからつい早く出ちゃった訳じゃないんだからね。誰かさんを待たせるのも悪いかなと思った訳でも無いんだからね」
彩葉ちゃん、その台詞で顔色がちょっと赤くなる。
うん、模範的なツンデレだ。
大変宜しい。
「さて、なら知佳に早く来いと連絡するか」
俺はスマホを取りだし、SNSで『皆着いているぞ、早く来い』とメッセージを入れる。
「あいつの家はそんなに遠くないからな。歩いてもそんなにかからない筈だ」
言った早々でスマホが鳴る。
SNS着信、知佳からだ。
『ごめん!今起きた。先に映画館で待っていて!直接行く!』
おいおいおい。
仕方無いので二人にスマホを見せる。
「もう、しょうが無いわね」
「でも映画の上映時間まではまだ時間がありますから」
そんな訳でそれぞれ邪魔にならないところで箒を取り出す。
彩葉ちゃんの箒は小さいがかなり早そうな雰囲気をしている。
俺も速い方の箒を出す。
カブは二人乗り出来ないしな。
「どっちに乗って行く?」
「私のSDRは一人乗り用だし、蒼生のでいいんじゃない」
確かに彩葉ちゃんのバイクは小さいよな。
一方で和花ちゃんは俺のバイクを見て考えている。
「うーんお兄ちゃん、この箒のシートを両方とも目一杯前に寄せて貰えますか」
「ほいほい」
言われた通り一番前に寄せる。
「これで私が前に乗りますから、お兄ちゃん後から運転してもらっていいですか」
おっとそう来たか。
それはもう喜んでOKだ。
「そう言えば何で和花ちゃんは蒼生の事をお兄ちゃん呼びなの?」
彩葉ちゃんがそんな質問。
そう言えばそうだな。
お兄ちゃん呼びはご褒美だからあえて聞かなかったけれど。
「昔からお兄ちゃんがいればいいなと思っていて、それで私を助けてくれた蒼生さんがちょうどそれくらいの年齢だったので。それでついお兄ちゃんと呼んでしまったんです。蒼生さんと呼んだ方がいいですか?」
「どっちでもいいよ、好きな方で」
お兄ちゃん呼びの方が嬉しいけれどな!
「ならお兄ちゃんで。本当にいいですか」
うん、あざといまでに可愛いぞ!
ズボンの一部が痛くなる位だ。
「それじゃお兄ちゃん、運転お願いします。大丈夫ですか」
「大丈夫だよ」
バイクなら無理な姿勢だが飛行箒ならこれでも運転できる。
和花ちゃんの髪の香りや伝わってくる体温がイイ!
思わずハアハアしたくなるのを必死に堪える。
「じゃあ私が先に行くからついてきて」
「アイアイサー」
二人の箒が浮上する。
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