第6章 魔法使い俺と炎のゴーフレット

第21話 デートの筈が……

その1 デートのお誘い

 二十六日金曜日。

 明日からゴールデンウィーク前半戦が始まる。

 取り敢えずは明日からの三連休だ。


 朝、教室に入って自分の席に行く途中。

「蒼生、明日何か用事が入っている?」

 いきなり彩葉ちゃんにそう尋ねられた。


 教室で彩葉ちゃんとあまり話した事は無い。

 というか彩葉ちゃんと話したのは戦闘関係の時だけだ。

 だから思わずどきっとする。

 やっぱり可愛いしさ。


「い、いや。特に何も無いけれど」

「なら明日、ちょっと付き合ってくれない」


 えっ。

 これってもしやデートのお誘い。


「勘違いしないでよね。私も暇だし、だからちょっとついでに聞いてみただけなんだからね」

 おお、見事なツンデレだ。

 そう言えば前に助けてくれた時もツンデレ口調だったな。

 やっぱり彩葉ちゃんはロリババアツンデレなのか。

 なかなかイイぞ。

 デートでああしてこうしてこうなって……


「明日は暇だから大丈夫だぞ」


「ちょっと待った!」

 物言いが入った。

 知佳だ。


『また蒼生の賢者の石を狙う気じゃないでしょうね』

『もうその気は無いわ。蒼生の強さは思い知ったし。今回は単に蒼生が暇なんじゃないかと思って誘っただけ。妄想に取り憑かれたエロ女子高生につきまとわれているのも可哀想だし』

『ぐぐぐ、言わせておけば本当の事を』

 おいおい自分で認めてどうする。


『美園さんのその気は無いは本当だと思うぞ。実際アトス先輩の時は力を貸してくれたしさ』

『あれは私に勝った蒼生が他の誰かに負けるのが悔しいからなんだからね。あと蒼生は私の事を彩葉と呼んでいいからね。こいつを知佳と呼ぶのと同じで』

『ぐぬぬ、こいつ扱いしやがって。蒼生それは私が先につばつけたんだ』

『選ぶのは蒼生であなたじゃないわ』

 口喧嘩は彩葉ちゃん有利に展開中。


 しかしそこで。

「なら仲裁案として三人で行くのはどう?」

 翠さんが入ってきた。


「何で私が」

『美園さんが過去に蒼生君を狙ったのは事実でしょう。でも選ぶのは蒼生君というのも事実だし。なら知佳も行って大丈夫かどうか見張ればいいんじゃない』

 おいちょっと待った。

 折角の彩葉ちゃんとのデートが。


『でも蒼生が』

『先に誘ったのは美園さんでしょ』

 ちょっと俺の希望は!?


「まあ仕方無いわ。そこまで言うならおまけがついても」

 彩葉ちゃん納得しないで!


「がるるるる」

 知佳猛獣化するな。


 あと不安が一つある。

「参考までに翠さんはどうお過ごしの予定ですか」

「ちょっとイベントがあるので出かけてくるわ」


 そうですか。

 つまり知佳は野放しですか。

 大変不安だ。

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