第20話 予想外の再会

その1 生徒会長の正体

 翌日。

 朝も昼も生徒会親衛隊の皆様も残念な事に俺と遊んでくれなかった。

 うーん悲しい。

 楽しかったのに。


 そんな訳で放課後。

「行ってきまーす」

「失礼無いようにね」

 生徒会室へ出向く。


 何処かで親衛隊の連中が待ち伏せしているかな。

 何ならちょっと遊んでもいいな。

 そう思っていたのだが残念だが不発。

 あっさり生徒会室まで到着してしまった。

 看板を入れ替えて別の部屋と間違わせようとかそういう細工も無い。

 ついでに扉の上に黒板消しが乗っていたりする事も無さそう。

 大変に残念だ。


 さて、敵地ではないが女の園に乗り込むのは勇気がいる。

 右手に人と書いて飲み込む真似をする。

 うん、大丈夫だ。

 効果は無かった。


 諦めてドアを三回ノック。

「はい、どうぞ」

 仕方無く扉を開く。


 本来の俺とは無縁の世界だな。

 背景に薔薇とか百合が見えそうだ。

 お姉様系もロリ系も美少女揃いでレベルが高い。

 これは眼福眼福。


「いえ、こちらこそいきなり呼びつけて申し訳ございませんでした」

 生徒会長はきりっとした感じの美少女。

 身長はそこそこ高めで俺と同じくらい。

 胸が小さめだがむしろそこがいい。

 だが何か何処かで見覚えがあるような気がする。

 声も何処かで聞き覚えがあるような。


「いえ、ご招待ありがとうございます」

 取り敢えず美少女相手だ。

 真っ直ぐ立って軽く礼をしたりと紳士な対応をしておく。


「その感じは気づいていらっしゃらないようですね」

 会長がそんな事を言った。

 えっ、どういう事だ?

 俺の頭は混乱する。


「そう言えば以前お会いした時は男子の制服でしたね」

 なぬっ!

 まさか!

 そこまで言われて俺はやっと気づいた。

 制服や髪型、口調は違う。

 でも体型や顔、そして声はそのままだ。


「ダルタニャン先輩、ですか」

 奴はにこっと笑う。

「ここにいる時は会長、もしくは子猫さんと呼んで下さいね」


 おいおいおい。

 ちょっと声が出ないぞ。

 何せ黒歴史の元凶だからな。


「大丈夫です、ここに居る時の私はあくまで生徒会長ですから。あと本日のお茶会は非公開。魔法使いまたは魔法使いの事を知っている方しかいらっしゃいません。ですからどうぞ安心してださい」

 お前が一番安心できないんだ!

 口調もキャラクターも何か違うぞ。

 悔しい事にどっちも似合っているけれどさ。

 まあ今日は美少女達の前だし俺も紳士として振る舞うか。

「わかりました」


「それではそちらの席にお掛けいただけますか、お茶会にいたしましょう」

 俺は示された席に座る。

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