その2 ポントス先輩再び

 昼休み持久走大会は女子3名の敗北で終わった。

 鍛え方が足りないぞ君達。

 仮にも親衛隊を名乗るならもっと鍛えろ!

 まあ俺は九割魔法で走ったけれどな。


 そんな訳で午後の授業へ。

 時間は過ぎてそして放課後。


「たのもー!」

 何かワンパターンだな、まったく。


「今日は部活行かないでちょっとトレーニングしてくる」

「わかった。気をつけてね」

 そんな訳でカバンを持って入口へ。


「さあ、今度は何をやる?それとも」

 背後から迫ってくる影を華麗な横移動でかわす。

「やっぱり追いかけっこかな、この様子では」


 そんな訳で持久走大会を再開。

 教室棟から渡り廊下を経由して体育館まで。


「ほら頑張れ、ここでバテるくらいだとオリンピックは遠いぞ!」

「誰がオリンピックだ!」

「この辺のスーパーではオリンピックが一番安いぞ。袋が有料なのがちょっと気にくわないが」

「そっちかい!」


 うん、ストレス発散にもなるしいいスポーツだ。

 健康的な汗もかいているみたいだしな。

 三人とも。

 俺は魔法併用だからほとんど疲れないけれどな。


「くそっ!」

「女の子が下品な言葉を使ってはいけません。どうせなら御をつけて御雲古と」

「そっちの方がまずいだろ!」


 うんうん、まだ元気がある。

 これが若さか。

 大変宜しい。


 でも学校内を行ったり来たりしていると、だんだん走るのが遅くなってきた。

 流石に疲れてきたらしい。

 見ると三人ともびっしり汗をかいている。

 特に樽が酷い。


「長距離を走る体型じゃ無いからなあ。もう少し落とした方が健康にもいいぞ」

「余計なお世話だ!」

「でも重いと中年過ぎて膝にくるぞ」

「まだ早いわ!」

 そうやって俺が遊んでいるところで。


「何をやっている」

 第三者の声がした。

 誰だ俺の楽しい鬼コーチごっこを邪魔する奴は。

 見ると憶えのある顔だった。


「ああ、ポントス先輩!」

 三人組も知っているようだ。


 一方ポントス先輩は俺を見て嫌ーな顔をする。

「何だお前か」

「ええ、健全な精神は健全な肉体からという事で、まず持久走大会を」


「あまり後輩をいじめるな」

「いじめられそうで逃げているのは俺なんですけれど」

「どう見ても愉しんでいるようにしか見えないぞ」


 ぎくっ。

 まあそうだけれどさ。


「お前達も諦めろ。こいつはお前達で何とか出来るような奴じゃ無い」

「でも……」

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