その6 二人の結末
一戦と言わず三戦ばかり連戦して終了。
静枝さんはぐったりとして気を失っている。
呼吸はあるから生きているのは間違いないけれど。
横で小さなため息が聞こえる。
そうだ、貫井先輩がいたんだった。
途中からナニに夢中ですっかり忘れていた。
取り敢えずハンカチで彼女の部分と俺の部分を拭き取る。
ティッシュが無かったので仕方無い。
「静枝の方は私が服を着せましょう」
貫井先輩がそう言ってくれたので、俺は自分の方に専念。
制服上下まで頑張って着用する。
「それにしても寝取られるという体験はあまり楽しいものではありませんね」
貫井先輩の台詞に思わずぎょっとする。
「心配しないでも大丈夫ですよ、私が鈴木君にお願いしたのですから。今のはただの感想です」
安心していいのだろうか。
ちょっとというかかなり不安ではある。
「これからどうするんですか」
俺は貫井先輩に尋ねる。
「静枝は私が連れていきます。直接倒した鈴木君が許してくれればの話ですけれど」
「今回は貫井先輩の指示で倒せたようなものです。ですから貫井先輩が思うとおりにお願いします」
実際どうしろと言われても俺には何も思い浮かばない。
ヤル事はやってしまったしさ。
「ありがとうございます」
貫井先輩は俺に頭を下げた。
「静枝は昨年、私の同級生でした。そして魔女としては私の憧れの先輩でもありました。悪い魔法使いにひっかかって犯罪の片棒を担がされ、それで刑務所にいたのですけれどね。始めからこうして私だけのものにしておけば良かったのかもしれません」
私だけのもの。
その言葉の響きにちょっと俺は恐怖を感じる。
「当分は私だけのものとして私の場所に閉じ込めて、毎日愛し合うつもりです。
うん。
間違いなくやばい。
これで静枝さんが男なら病ンデレだ。
いや女同士の病ンデレも有りか。
気づかなかったな。
貫井先輩にもこんな面があったなんて。
「ここは私が片付けます。鈴木君、本日は本当にありがとうございました」
「わかりました。それでは失礼します」
俺は若干早足気味にこの場を去る。
正直今は静枝さんより貫井先輩に恐怖を感じ始めていた。
勿論明日になれば貫井先輩も普段の顔に戻るのだろう。
頼りがいのある先輩に。
だからこそ、今日はもうこれ以上一緒にいてはいけない。
屋上に登って箒を取り出す。
本日の
加速感は知佳のNRとそう変わりない。
あっちは二人乗りでの体感だったけれど。
さて、日常へと帰ろう。
スーパーの半額シール貼りに間に合うかな。
俺は箒をスーパーの方へと向けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます