その5 それぞれの目的

「どういう事だ!」

 悪出戻ワルデモドの怒声が響く。


「静枝は騙されているんです。あなたを脱獄させた魔法使いの目的は静枝に邪魔者を倒させる事じゃ無い。静枝の魔力を彼に吸収させる事なんです。厳密に言うと、ここの鈴木君に私の魔力か静枝の魔力のどちらかを吸収させる事。どちらかを吸収させて鈴木君に天の魔力を手に入れさせる事です」

「何だと!」


 ここから貫井先輩の声が消える。

 でも悪出戻ワルデモドの反応を見ると会話は続いているようだ。

 恐らく俺に聞こえないよう魔法音声で直接やりとりしているのだろう。

 そして。


『鈴木君にお願いです。私が合図をしたら、静枝を襲って下さい』

 貫井先輩の魔法音声でとんでもない事を言われる。


『襲うってどういう事ですか!』

『言葉通りです。具体的に言うと挿入して最後までやって下さい』


 何か無茶苦茶だ。

 でも貫井先輩の事だ。

 何か理由があるに違いない。

『何故ですか』


『静枝の魔力を封じるためです』

 貫井先輩から答が返ってくる。

『鈴木君に魔力を限界まで吸い取られれば、静枝も活動できなくなるでしょう。静枝の元々の魔力ならそれで死ぬ事もありません』


『貫井先輩はそれでいいのか!』

『ええ、それ以外に静枝を保護する方法が思いつきません』

 保護する、か。

 やはり貫井先輩は悪出戻ワルデモドに何らかの思いがあるようだ。

 なら仕方無い。

 貫井先輩には世話になっているし、ここは人肌脱ごうでは無いか。

 悪出戻ワルデモドもとい静枝さんも俺好みのロリ系だしな。

 ツインテールになどしているところなんか最高だ。


『静枝は三メートル以内の敵に通用できる攻撃魔法を持っていません。精神操作魔法は私が全て防ぎます。

 チャンスは作りますから、私の指示で襲いかかって下さい』


『わかった』

 貫井先輩はこの為に俺を連れてきた訳か。

 俺は理解した。

 そして二人の会話は再び音声に戻って、最後の局面を迎えていた。


「しかし何故そんな事を……」

「おそらくはもっと老練な魔法使いのお遊びでしょう。それでもその証拠はあります。現に静枝に加勢が来ていない事がその証拠です。おそらく応援を寄越すからここで待て、そう言われているのでしょう。でも現に応援は来ていません。

 つまり静枝、あなたは騙されたのです」


「うっ、くそう!」

 静枝さんが歯ぎしりする。

 その時だ。

『今です!』

『風加速!』

 俺は一気に静枝さんに近づく。


 彼女がはっと気づいた時には遅かった。

 さっと後に回り込み制服とスカートのボタンとチャックを外す。

 ブラウスを脱がしブラのホックに手をかける。


『ライトフリーズ』

 これはフリーズの弱いバージョン。

 動けない事も無いが力が五分の一以下になる。

 しかも自分より魔力が強い魔法使いにもそこそこ効く。

 今までの失敗点を踏まえ開発した軽拘束魔法だ。

 完全に拘束した状態では面白く無いからな。

 これくらいがちょうどいい。


 そんな訳で、外して下ろして撫でて舐めて。

 そして……

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