その2 襲撃のある日常

 悪い事もあればいい事も少しはある。

 俺のマシンがかなりいい奴に変更された。


「前のカブではいざという時に逃げ切れないからな。でも速さで逃げようとすると攻撃を当てやすくなる。だからその辺は気を付けろ」

 知佳の箒と比べると一回り小柄だがいかにも速そうな代物である。


 早速学校まで乗ってきたがもうパワーが全然違って無茶苦茶楽しい。

 それにしても朱莉さん、マシンをいくつ持っているのだろう。

 まあ学校の給料以外にも色々収入源はあるようだし遠慮はいらないだろうけれど。

 その割に夕食が半額弁当に拘る等セコい面もあるんだよな。


 さて、授業は無事に終わって放課後になる。

 さしあたって今日やるべき事はエロゲの続きだ。

 そんな訳で今日もイヤホン片方でゲームに突入する。

『とうとう、私達は世界に二人きりになった』

なんてシーンをやっていた時だ。


 ドン!

 扉が猛烈な勢いで開かれる。

 何か既視感ある展開だな


 入ってきたのは三人の女子生徒。

 それぞれ大型の水鉄砲を抱えている。


「全ては我らがビッグ●ァイアの……」

「汚物は消毒……」

「目標を駆逐す……」

 それぞれ台詞を言い切る前に倒れた。


 立ち上がった貫井先輩がため息をつく。

「もう面倒だからこの子達は部活終わりまで寝ていて貰うわ。水鉄砲の中身も入れ替えて、と」


「参考までに水鉄砲の中身は何ですか」

 誰かの質問に貫井先輩が答える。

「ガソリンよ。ガソリンを噴射した後、火のついたジッポを投げて着火させるつもりだったようだわ」


 うわっ。

 単純だけれどかなり悪質だ。


「面倒だから皆さんは部活を続けていて下さいな」

 そう言いながら先輩は魔法で三人を邪魔にならないところに移動させたり、水鉄砲の中身を魔法で変化させたりと色々やっている。

「今日はあと二組くらい来そうです。でも気にしないで部活を続けていて下さいね」


 おいおい、あと二組もくるのかよ。

 でも全員その台詞でそれぞれ自分の活動へと戻る様子。

 信頼されているな、貫井先輩。

 そんな訳で俺もエロゲに戻る。


 途中、何か扉が開けられたような音がしたけれど気にしない。

「介入行動に……」

「人がゴミのよう……」

「天魔覆滅!」

 うん、短ければ言いきることも出来るようだな。

 俺には関係無いけれど。


「さあ、お前の罪を数え……」

「逃げちゃ駄目……」

「魔女死すべ……」

 行動の片隅に人が増えていく。

 横たわった状態で。

 でも俺は取り敢えず気にしない。

 何せゲームの方が多分、もうすぐ感動のラストだ!


 でもこのゲーム、エロゲにしてはエロシーン少なかったな。

 確かに泣けて感動できるけれど。

 次はハーレムゲーを借りようかな。

 そんな事を思いながら。

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