その2 襲撃は続く
そんな訳でいつものスーパーマーケットへ。
この時間のスーパーには通常と違う一種異様な緊張感がある。
スーパー通ならわかるだろう。
そう、半額シール合戦の事前戦闘が既に始まっているのだ。
半額シールが貼られた後、のんびり見に行こうなんて考えは甘い。
ベストの品物を手に入れるにはそれなりの準備が必要なのだ。
ここのスーパーは事前に籠に入れておいて、半額シールを貼りだした後に持って行って『貼って下さい』は禁止されている。
ちゃんと『お持ちの商品には値引きシールを貼りません』と書いてある位だ。
しかも半額シールを貼る時間がきちんと決まっている訳では無い。
雨の日はちょっと早めとか、売れ残りが少ない日は遅めとか色々ある訳だ。
通はその辺も考慮の上、ある程度余裕のある時間に出向く。
出向いたら肉コーナー、刺身コーナー、惣菜コーナーそれぞれの様子を事前確認。
その上で本日のシール時間予想を立て、シールを貼る時間順に各コーナーを回る。
間違えても目的のコーナーで立ち止まって時間を待つなんて無粋な真似はしない。
アレをやると店員がわざと貼る時間を遅くしたりするからな。
それに普通に買い物をする人の邪魔だし。
他の客に迷惑をかけるようでは半額ファイター失格だ。
そんな訳で惣菜コーナーへシールを持った店員が現れるのを待ていた。
このスーパーの場合待つのにベストポジションはパンコーナー奥。
ここから店員の出入りが目視できる。
パンを選ぶ素振りをしながら時を待っているところだった。
ざわっ。
空気が変わった。
さては店員が違うルートでシール貼りに!
慌てて惣菜コーナーへ。
店員は来ていなかった。
いつものおばちゃんやじいさん達だ。
だが何か目つきが違う。
やばい、これは!
「魔法使いに死を!」
買い物籠を振りかざすババアを華麗に避ける。
しかしその先からは別のババアが。
咄嗟に横の通路に避難。
菓子コーナーからOL風ババアがハンドバッグぶん回して突進してきた。
これじゃキリが無い。
仕方無い。
反撃だ!
『時間退行魔法、
必殺魔法をスーパー全体にかける。
この魔法は黒歴史の結果、地魔法を手に入れた事によって生まれた大魔法だ。
範囲内の全員が小学五年生化。
しかも体型も遺伝子の可能な範囲で華奢になるというおまけ付き。
なおこの魔法は男に対しては単なるフリーズ効果のみである。
男なんて背景で充分だ。
そんな訳でスーパーの店内を一通り観察して回る。
うん、目に優しい。
服が脱げかけのロリが色々押さえながらも攻撃しようとしてくる。
本当は紳士たる者YESロリータNOタッチの原則は守るべき。
だが相手が攻撃してくるなら防御の為触れてしまうのは仕方無いよね。
服が脱げかけていてバタバタしていたら全部脱がしてあげるのが親切だよね。
更に怪我とか無いか体中を確認するのも重要だ。
ちゃんと脇も足の間も確認して、と。
そうしたら何か怯えた顔して隅の方へ逃げて行っちゃったけれど。
そんな訳で店内をくまなく確認した後、店を出る。
まだ半額シールを貼っていなかったからなあ。
仕方無い、もう一つ別のスーパーへ行くとするか。
店内に展開した魔法を解除し、俺は歩き始めた。
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