その2 百合騎士団の銃士とは

「今日は飛ばすよ」

 宣言した通り、いきなり強烈な加速感。

 知佳に回した手が食い込みそうなくらいの勢いだ。

 冗談みたいな速さで上昇し、そして飛んでいる。


 こんなの翠さんついてこれるんだろうか。

 でもミラーで見るとしっかりついてきている。

 翠さんも何気に飛ばし屋なのかな。

 そう思った時だ。

 箒の速度が急激に落ちた。


「どうした」

「わからない」


『強力な魔法よ、地属性の多分重力系魔法』

 翠さんの魔法音声。

 なんだと!

 稼いだ高度がみるみる落ちていく。


「駄目!引き寄せられている!このマシンのパワーでも勝てない!」

 何処へ向かっているかもう一目瞭然だった。

 城跡公園だ。

 城跡公園の中央付近にある広場へと吸い寄せられている。


『無理に力で対抗するとその分引き寄せる力も強くなるみたい。残念ながらここは降りた方がまだ安全な感じよ』

「仕方無い、わかった」

 箒は着地態勢に入る。


 ここまでくると引き寄せられている場所はわかる。

 城跡公園の中央広場だ。

 うちの制服の男子が中央にいるのがわかる。


 えっ、男子?

 桜景学園高等部には男子は二人しかいない。

 俺と喜平君だ。

 でもアレはどう見ても喜平君では無い。

 身長が低く華奢すぎる。

 俺と同等かやや小柄だ。


 桜景学園うちの中等部の生徒か。

 でも中等部と高等部の制服はボタンが違う。

 あれは間違いなく高等部のボタン。

 何者だ、あいつは。


 二台のマシンは無事広場の石畳に着地。

「やあ、待っていたよ」

 見事なボーイソプラノ。

 女の子の声と言っても通用する感じだ。

 でも俺は男には興味は無い。

 俺の興味を引くのはロリ美少女のみ!


「何物だ、お前は!」


「今回はうちの騎士団が色々不始末をしたようでね」

 騎士団というと百合騎士団の連中か。

 そうなると思い当たる名前もある。

「ダルタニャン様というのはお前か」


「様はつけなくていいよ。そう、僕が桜景学園筆頭銃士、ダルタニャンさ。ちなみに本名は樽田たるた子猫こねこ。個人的にはダルタニャンと呼ばれるより子猫ちゃんと呼んで欲しいところかな。三年B組にいるのでよければ遊びに来てくれたまえ。君なら大歓迎だ」


 なら疑問がある。

「どうして男が三年にいるんだ!」


「何故百合騎士団に銃士と呼ばれる者がいるか知っているかな」

 彼はにやりと笑う。


「知らん!」

「なら教えてあげよう。銃士とは銃を使う者の事さ。この場合の銃とはおとこの持つ裸の銃の事。まあ僕達は銃を持って生まれなかったから後天的な銃だけれどね。参考までに僕が持つ銃はこれ、|M500さ」

 見せつけたのは極太で禍々しい双頭のディルド。

 これが銃だと!

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