おまけ 貫井先輩の魔女講座その2 魔女道具購入法

 放課後の部活最中。

 ちょっと気になる事があった。

「そう言えば魔法の杖とか魔法の箒、あれはどうやって手に入れているんだ?」


「私は母に買って貰っているけれどね。なにやら通販があるらしいよ」

 知佳はそんな事を言う。


「なら私が説明しましょうか。こちらへどうぞ」

 貫井先輩がそう言って、隣の席を空けてくれた。

 俺と知佳はそれぞれ貫井先輩の席の両側に陣取る。


「まず購入方法は通販が一般的ですね」

 そう言って先輩はマウスを操作する。

 パソコンの画面にいかにもというページが現れた。


「ここはよく使われる魔女関連ポータルサイト、Mahoo!Japanですね。通販だと他にウィッチカメラとかアマゾネスとか良く使われます。私がお勧めなのはウィッチカメラでしょうか。一番安い訳では無いですけれど保証がついて、ポイントもたまった上、安く確実に届けてくれますから。

 例えばどんな物が欲しいと思いますか」

「例えば自分の飛行箒があれば便利だなと思って」


「箒は大物ですし中古もありますから専用サイトがおすすめですわ」

 そう言って貫井先輩はマウスを操作。

 BroomBergというサイトが出てきた。

「中古から新品最高級まで色々ここで確認出来ますわ」


 確かに。

 7万円くらいから億近いものまで色々出ている。


「知佳のNR750はいくら位なんだろう」

 ささっと見てみる。

 支払い総額621万円。

 おいおい。


「知佳はこんな高いの乗っているのか」

「まあお母さんのお古だけれどね」


 貫井先輩は肩をすくめる。

「NRは希少価値もあるので性能以上にお値段がしますわ。ただ魔力機関の大きさによって到達可能高度とか最高速度、魔力消費、連続運転可能距離が変わりますから、その辺はしっかり選んで下さいね」


「その辺を考慮した上での先輩のお勧めは?」

「扱いやすい250サイズになりますね」

 ささっと先輩がマウス操作をして画面を切り替える。


「これに出てくる忍者しのびあたりですね。だいたい40万円くらいでしょうか。このクラスなら買うのは新車の方がいいですわ」

 40万円か。

 結構するなあ。

 そう簡単に手に入らないぞ。


「参考までに先輩はどんなのを愛用しているんですか」

「私の場合は性能というより気分重視ですね。SRX600改、軽さと瞬発力に振ったちょっと癖のあるマシンですわ」


 見るとこれは今まで見たのと比べてお求めやすい値段。

 でもボロボロの中古でも30万前後する。

 バイトをしても当分は買えないな。

 それにそもそもこの学校はバイト禁止だったっけ。

「ただ普通は最初の箒は親兄弟、先輩から譲り受ける事が多いのですわ。まずはそれに慣れた上で、自分がどんな箒が好きかわかった上で購入した方がいいかしら。

 鈴木先生なら何台もマシンを持っていると思いますから。事情を説明して借りればいいのですわ」


「そうするとあと杖か」

 ウィッチカメラに画面を切り替えてみる。

 これも値段は様々。

 3万円から100万円超えまで。


「杖があると魔力を集中しやすかったり、大魔力を出しやすかったりしますけれどね。でも普段使っていないのなら焦って探す必要は無いと思いますわ。普通は小さい頃から杖で魔力を引き出す練習をしているので、杖があった方が魔法を使いやすいのですけれども」


 なるほど。

 つまり杖は今急いで買う必要も無いと。

 箒については鈴木先生こと朱莉さんに相談してみよう。

 義体ですら三体所有していた朱莉さんのことだ。

 きっと箒も余る程持っていることだろう。

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