第10話 百合騎士団の三銃士

その1 貫井先輩の注意

 ある日の放課後。

 俺達はいつもの第二講堂で部活動に勤しんでいる。

 具体的には知佳がスマホで漫画を読書。

 翠さんがパソコンとペンタブでお絵かき、たまにエロゲ。

 俺がDVDでアニメ鑑賞だ。

 まあ知佳は時折俺や翠さんに絡んだりもしているけれど。


 下校時刻10分前の予鈴が鳴る。

 帰ろうとしたところで貫井先輩が俺達を呼び止めた。

「蒼生君、今日からしばらくの間はちょっと帰り道に注意してね」


「何でですか?」

 俺が賢者の石を狙われている事は貫井先輩も知っている。

 それなのにわざわざ呼び止めて注意するのは何故なんだろう。


「実は一部の魔女グループに蒼生君達を狙おうという話があるみたいなの。どうもそこのグループ員が蒼生君を襲った際、返り討ちに遭ったみたいでね。三年生の幹部まで復讐に出向こうという話になっているらしいの。三年生と言っても実際は二百歳近い魔女だけれどね。だからくれぐれも気を付けて」


 うーむ。

 思い当たる節は結構あるな。

 既に何組も撃退しているし。


「なら今日は念の為、飛行箒で家まで送ろうか」

「悪いな。お願いしていいか」

「勿論!」


 そんな訳で翠さんとは廊下で別れ、俺と知佳は屋上へ。

 屋上のほぼ真ん中にある階段室から外へ出て、ちょっと広い方へ移動。

 知佳が箒を取り出そうとした時だった。


「あっ!」

 知佳がそう小さく叫ぶ。


「どうした」

「まずい、囲まれた」


 ふっと空気が変わる。

 屋上の前側に二人の女子が現れた。

 それぞれ杖を高く振り翳している。


「相手二人なら知佳は大丈夫だろ」

「二人じゃない、五人以上よ。囲まれている」


 何だと。

 振り返ると背後にも二人の魔女が立って、杖を振り翳していた。

「あと上も!」

 真上にも飛行中の魔女が一人いる。


「まずい。完全に空間を封鎖された」

「その通りよ」

 更に一人、俺達の正面に女子が現れた。

 知らない顔だが見かけは悪くない。

 バッチからして三年生だが体型はほっそり小さい感じ。

 左右に長く垂らしたツインテールなどという不届きな髪型をしている。

 ただ体型の割に胸のサイズがちょっち大きめなのがマイナスだ。


「私は桜景学園高校百合騎士団三銃士の一人、アラミスこと新井あらいみすず。先日は私の従者に酷い事をしてくれたようね」

 アラミスと名乗った先輩はそう言って右後ろを見る。

 見ると俺の右前にいるのは同じクラスの関野だった。


「いや、関野に酷い事をしたのは俺じゃ無くて仲町さんなんだが」

「萌花がサービスシーンを披露しているところ、鈴木君は一瞥もしなかったそうじゃない。女として最大の屈辱だったと萌花は言っているわ」


「それは申し訳ない。あまり好みの体型じゃなかったので」

 つい本音を言ってしまった。

 案の定アラミスさんはお怒りになった模様。


「そんな、私と双頭バイブを通じて繋がったあの可愛らしくイヤらしいロリEカップの萌花が好みじゃ無いなんて。その暴言許さない!三銃士アラミスの名にかけて、鈴木君の賢者の石を奪い取って萌花に捧げてみせるわ」

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