その4 やっぱり俺は小学生が

「まさか自力で撃退するとは思わなかったな。凄いじゃない」

 見慣れた知佳の姿だ。


 咄嗟に俺は実力全開モードから紳士モードへ移行する。

 こいつも一応俺の好みの範囲内だ。

 外角やや高めの際どいところだが。

 だから接するときは紳士的に。


「襲われたからやり返したけれど、ちょっとやり過ぎたかな」

 ちょっと攻めが甘かった。

 あと一歩で生で色々拝めたものを。

 そう思っても態度や口には出さない。


「まあ賢者の石を取られたら蒼生は死んじゃうんだしね。あの程度の反撃は魔女社会でも大目に見てくれると思うよ。本来の女子高生相手なら流石に私もあんまりだとは思うけれどね」


 なるほど。

 取り敢えずはセーフという事か。

 でもちょっと疑問が生じる。

「美園さんがロリバ、いや年老いた魔女だって事、知佳は知っていたのか」


 彼女は頷く。

「うん、翠も亜紀乃も、あの部屋の魔女は全員知っているよ。昼食の時のグループ、私とか蒼生のグループが実年齢そのままの女子高生魔女のグループで、美園とか関野とかのグループが年上のグループ。あそこは皆かなり年寄りかな。あとグループ別だけれどもっと古い魔女も一人いる。ただあの人は義体を自分で調達できるレベルだからとりあえず別という事で」


 そうなのか。

 と言う事はつまり。

「亜紀乃さんも美夏さんも夏美さんも魔女なのか」


「うん、そうだよ。翠以外の三人はまた別の魔女の課外活動をしているけれどね」

 なるほど。

 知らなかったけれど随分魔女がいるもんだな。

 この学校には魔女が多いと貫井先輩には聞いていたけれど。


「さて、部活に行こ。皆待っているしね」

「はいはい」

 そう言ってもう一つ疑問を思いつく。

「今回の件、最初から気づいていたのか?」


「うん、勿論」

 当然のように知佳は頷く。


「蒼生の様子が変だから念の為に様子を伺っていたんだ。まあ美園もそのうち仕掛けてくるとは思っていたしね。本当に危なくなったら手を出すつもりだったけれどね。何か全然出番が無かったから最後まで何もせずに見ちゃった」

 なんだと。

 と言う事は俺が彩葉ちゃんに色々仕掛けた事も全部見ていたという訳か。


「まあ美園は年取っているくせにぶっちゃっていて、好きじゃ無かったからね。だからあれくらいはやってもいいかなって。それにあれなら当分襲ってくる気にもならないだろうしね。トラウマになっただろうし」


 そう平然という知佳に俺はちょっと恐怖する。

 あれくらいはやってもいいだと!

 好きじゃない位で。

 ああ女子怖い。


 やっぱり高校生は俺の対象外だ。

 純情な小学生ロリが一番だ。

 出来れば小学五年生くらい。

 まあそう思っても口には出さないけれど。

 俺は紳士だから。


「じゃ行くか、第二講堂へ」

「そうだね」

 そんな訳で俺達は歩き始める。

 一見とっても仲良さそうに。

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