第7話 唯一の男子生徒

その1 喜平君の怪しい反応

 今日の六時限目は初めての体育だ。

 この学校では男子が体操服を持って更衣室へ着替えに行く。

 女子は教室で着替え。

 なにせ女子が圧倒的多数だから仕方無い。

 全校合わせても男子生徒は俺と喜平君だけ。


 そんな訳で五時間目終了後、さっと席を立って更衣室へと急ぐ。

 下手にゆっくりして女子が着替え始めたら面倒だ。

 エロ男子扱いされてしまいかねない。

 俺としても断固としてそういう事は避けたいところだ。

 心はロリでも態度は紳士。

 まあ相手にもよるけれど。


 この学校は男子が少なすぎて不便なところが結構多い。

 更衣室の件もそうだが男子トイレも極端に数が少ないし。

 教師用と以前は書かれていたところに教師・男子用シールを上貼りしている状態。

 ただ二人で使う更衣室は広くて割と快適だ。

 ロッカーも一人で十個使っても余裕。

 そんな訳で適当なロッカーを使って着替え開始。


「今日はグラウンドで女子と共同と言っていたけれど、何をやるんだろうな」

「あ、ああそうだね」

 喜平君は言葉数少ない。

 教室にいる時は付近の女子とフランクに話しているように見えたんだけれどな。

 しかも何故か俺と大分離れた部屋の隅の方でこそこそ着替えているし。

 まあその辺は色々個人的な趣味なり性格なりがあるのだろう。

 だから俺もあまり気にしないで着替える。


 まあそんな訳で女子と一緒にグラウンドへ。

「今日は初めてという事で、毎回行う準備運動と体操を練習します。いいですね」

 見るからに体育専攻という感じの女教師がそう宣言。

 腕とか肩幅とかがマッシブでエアロビ教室の前で踊っていそうなタイプだ。

 勿論俺の好みの対象外。


 まずは桜景学園独自というやたら腕を回す体操を憶えさせられる。

 でもまあ体操は走らされたり競技やらされたりするよりはずっといい。

 比較的疲れないし、競技とくに球技なんて俺にはセンスがまるでないからな。


 桜景体操を三回やった後は、二人組になって柔軟。

 あわよくば彩葉ちゃんと組みたかったのだが現実は非情。

 男同士強制的に組み合わせになる。

 まあわかっていたけれどさ。

 まずは俺が押される方。


「それじゃ鈴木君、ちょっと失礼して」

 何故か喜平君はおずおずという感じで俺の肩に手をやる。

 何か押し方も遠慮しがちと言う感じ。


「もっと強く押していいぞ」

「あ、わ、わかった」

 何か反応が変だ。


 前、開いて右、左、前とやって前後を交代。

 今度は俺が押す番になる。

 肩に手をやった途端。

「やっ」

 喜平君は身体を震わせた。


「何だ、何か怪我でもあるのか」

「い、いや、何でも無い」

 何だろう。


 その後も背を伸ばすのに腕を掴むとびくっとしたりして、どうも反応が変だった。

 どうも俺が触ったりした時に色々反応するようだ。

 まあ他人が苦手なんてのはあるのかもしれない。

 でもうちのクラスの他の女子とは普通に話していたよな。


 まあ接触が苦手というのはタイプとして存在しない訳じゃ無い。

 同じ男子なんだから気にしなくてもいいのにと思うのだが。

 まあ俺なら女子の方が積極的に触れあいたいけれど。

 その理由がわかったのは体育の授業が終わった後の更衣室でだった。

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