神樹騎士団 ⑤-1-1
住人が増えた。
やってきたのは元々この場所に住んでいた烏女と他の場所に隠れ住んでいた烏女。
合わせて四十七名。
あくびフォーティーセブンと名付けよう。
スペッツの夏の魔物とか歌ってほしい。「あいたかったー」ってユニゾンで。
いや駄目だな。初代センターが人気遊女になってしまう予感がする。
「
彼女は神樹庭園外で烏女をまとめていたリーダー。名前はリコ=センタウェスト=マウントマウス=リーナ。
世界樹の結界の外で一族をまとめていた烏女。マウントマウス王国でアリスJ教のご神体をしていたという。
たぶんだが。化石化していたところを俺が非現実世界にあった天空城を現実世界に紐づけしてしまったせいで因果逆転を起こし復活してしまったのだろう。化石化する前に人間界で働いて、化石化したのちはご神体として教団に保管されていたとかそんな感じか。
「じゃあ彼女らの代表者はリコか?」
「いえマルギットです。一族全員の責任者となると、一応私が世界樹の巫女をしておりますので私となります」
「あぁそうだったな。ディオネは女王だったな。ならば彼女たちの管理を頼む」
「お任せください。教育は既に実施済みです」
恭しく一礼するディオネ。
それに続いて全員が地に伏せ礼をする。
立ったままの礼のディオネ。
片膝をついての礼のマルギット。
額を地につけた土下座スタイルの一同。
なるほど格付けが済んでいるのですね。
◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇
マルギットを除く待機組二十二名には農業以外にもそれぞれ得手不得手がある。
それはリコを除く放浪組四十六名についても同様だ。
だからそれぞれの持つ特技を活かした仕事をするようにと提案したら
「彼女は性技に優れています。奴隷として十分やっていけるはずです」
と笑顔でリコの推薦をしてきたマルギット。
俺は悩んだ。
マルギットよ。
お前は俺を何だと思っているの。
俺はそういう目的で奴隷を飼っているわけじゃない。ディオネだって元は掃除婦を求めての購入だったのだ。俺の厄介事の処理のために未来ある者の時間は奪えないから、生きた道具とされる廃棄寸前の奴隷ならどうせ潰れるのだしいいかなって理由だったのだ。
ディオネが元気になったのはたまたまだ。俺が奴隷飼育初心者だったためにやらかしてしまったに過ぎないのだ。伽的なアレは奴隷たちへの主人としての義務の遂行であって俺の希望ではない。むしろ手のかかる教育でありヤらずに済むのならヤらないでおきたい小学生の宿題くらいなものなのだ。
まぁ最近は勝負みたくなってて俺も「いつ何時誰の挑戦も受けよう」みたいな威厳あるご主人様を演じている手前辞めるに辞められず毎晩的なことになってはいるけれども。
っていうかさ。
今思ったんだけど、そもそもマルギットってディオネの部下じゃん。
ディオネは俺の部下だからマルギットも俺の部下と言えなくはないけど厳密にはもっと浅い関係じゃん。下請けの下請けは孫請けであって下請けではないわけじゃん。
なのになんで君は先輩風をふかしながらどや顔で推薦しているのか。
勿論私は先輩奴隷ですけどね、みたいな笑顔で俺を見るのホントやめてほしい。お願いだから。
「お任せください。我ら47名、農作業から地下活動に至るまで、
一方そんな推薦をされておきながら胸を張って答えるリコ。
農作業はわかるが地下活動ってなんだ。
一抹の不安をおぼえる。
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