第315話


ジョシュアとジョアンナに荷物が届いた。

正確には戻ったというべきか。

パーティや共闘の仲間だった者たちは、隣のユリティアの神殿で保護されたそうだ。


「ヒナルクを追いかけてダンジョンに入ったら、延々と続く階段を見つけて入った。

どのくらい入ってたか分からないが、そこで階段の下から巨大な魔物が現れて逃げてきた。

ヒナルクがどうなったか・・・」


そう警備隊詰め所で主張していた。

しかし、ヒナルクたちはすでにそのダンジョンを踏破して次の町周辺のダンジョンを踏破していると言われた。


「そんなはずないわ!」


「そう言ってもなあ・・・

お前たちが町を去ってから何ヶ月も経っているんだぞ」


その言葉にさらに驚いていた。

彼女たちは1日走っていたくらいの感覚しか持っていなかったからだ。


『記憶に障害があるかも』ということになり、神殿で預かることになった。

しかし、彼女たちは神殿から姿を消した。

ダンジョンで自分たちが荷物を奪い捨てた2人が、ヒナルクと一緒に行動していると知ったからだ。


「なんで死んでないのよ!」


冒険者ギルドで発せられたその言葉が『殺意あり』として罪を問われることになった。

この共闘メンバーたちは『男好き』だった。

よそのパーティの男に秋波しゅうはを送り、手に入れてもしばらくすると捨て去った。

男たちは、ジョシュアとジョアンナに気が移ってしまうからだ。

それもそうだろう。

表舞台に出たことがないのもあって知られていないが後宮で育った『国王の娘たち』と、冒険者兼娼婦の女たちとでは天と地。雲泥の差。月とすっぽん。

・・・いや、『月とすっぽんぽん』の方がお似合いだろう。

以前ユリティアの中央広場で、さくらの前に現れて下半身を露出させた3人の女たちも彼女たちの仲間だった。

そんな連中とジョシュアたちが同類なはずもなく・・・


「また私の男に色香を使ったわね!」


「ちょっと綺麗だからって何よエラそうに!」


そんなひがみから、ボス部屋前の広場で荷物を奪い置き去りにした。

彼女たちの中では死んだと思っていたのだろう。

それが生きていただけでなくヒナルクと一緒にいる。

自分たちがしたことを冒険者ギルドに訴えたため、パーティや共闘メンバーたちの荷物はすべて没収された。

無一文にされた上に殺害未遂までバレたのだ。

このまま神殿にいたら、寝ている間に地下の牢獄に入れられてしまう。

そう間違った判断をした彼女たちは神殿から姿を消したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る