第306話


双子ということもあって、ジョシュアとジョアンナの息はぴったりだった。

ただし『お互いがお互いをフォローし合う』だけで、攻撃に結びつくものではない。


「まるでシーナとルーナのようだな」


〖 アチラはフォローではなく『庇う者と庇われる者』という一方的な関係です 〗


「あー。メンドくせー」


「私たちが手を出しますか?」


「いやいい。

全員『スイッチ』!」


『スイッチ』

前衛と後衛が、その名の通り『入れ替わる』戦闘術だ。

ゲームようだが、実際に入れ替わる戦術がある。

わたしたちは、その合図を『スイッチ』と言っているのだ。

元の用語は『スイッチバック』。

別に『いろは坂』でも『つづら折り』でも良かったが。

『ジグザグ』をイメージしたからだ。


〖 本当なら、入れ替える・切り替えるは『チェンジ』と言います。

ですが、この世界では日本語より英語の方が似合いますからね。

電気を点けたり消したりするのを『スイッチ』と言いますから、説明もしやすいでしょう 〗


ハンドくんがそう認めてくれたから『スイッチ』で決定。

・・・で?ちゃんと共闘のルールを確認した時に話したはずなんだが?


『瘴気の影響でしょうね』


「『作戦』をなんだと思ってるんだ!

ジャマだ!アイツらを回収しろ!」


「「「はい!」」」


スゥとルーナがジョシュアを。

シーナがジョアンナを魔物の前から回収する。

鵡鳳むほうを構えたさくらと『真鍮オリハルコンのハリセン』を構えたハンドくんは、2人が抜けると同時に前へ出る。


「行くよ、ハンドくん」


〖 はい 〗



スイッチして10秒で戦闘は片付いた。

討伐数30体。


「あの・・・ヒナルクさん」


「「すみませんでした」」


「お前らは解体作業に入れ」


「ご主人様。あとは我々が・・・」


「オレは別に疲れてない」


「シーナ。

あとはご主人さまに任せて、私たちは早く片付けよう」


「・・・そうね。

あなたたちも早く片付けて」


「え。あ、はい」


さくらが鵡鳳をしまわず、ハンドくんもハリセンを手にしたまま。

手伝いたいなら、その前に『やることをやってから』だ。

今のように魔物の血の臭いをいつまでもさせていれば、肉食の魔物が血の臭いにつられてやって来る。


「来たよ!ハンドくん!」


・・・そう。今のように。

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