第305話
〖 3人は『共闘のルール』は覚えていますね? 〗
「はい。右翼・中央・左翼に分かれて戦います」
「えっと。中央は一番強いパーティが受け持つ、だったと思う・・・ます」
「ルーナ。合ってるから自信持って。
パーティが4組以上の場合、戦闘をする3組以外は後衛になり、他方向から来る魔物の襲撃に備えます。
後衛には二番目に強いパーティが・・・」
「アハハ。珍しくスゥが間違えた〜」
言葉を詰まらせたスゥを見て、さくらは楽しそうに笑う。
「ご主人様。
ルーナの回答から間違えていたのではないでしょうか?」
〖 では、シーナ。答えはなんですか? 〗
「前衛と後衛には、一番目と二番目に強いパーティが受け持ちます。
そのため、前衛に一番目のパーティが入ったら後衛には二番目のパーティが。
逆に前衛に二番目のパーティが加われば、後衛を一番目のパーティが受け持つ。
それは別の場所から現れた魔物が、前に立ち塞がる魔物より強い可能性があるからです」
シーナの答えにスゥは「そういえば・・・」と呟き、ルーナはシュンと落ち込んだ。
「スゥ。ルーナ。2人の答えは『本の中』での正解だ。
シーナはそこに『もし寄ってくる魔物が強かったら?』と考えて導き出した。
実戦ではシーナの回答が正解だ。
実際に戦闘の音が響けば『弱い魔物』は遠ざかろうと逃げ出し、肉食の強い魔物は
『横取り出来る強さ』を持っているんだ。
寄ってくるのは、その
さくらの言葉にスゥたち3人は黙って頷く。
ジョシュアとジョアンナも同席しているが黙って聞いていた。
「それではご主人が後衛で前衛が私たちですね」
「スゥは真ん中ね。左右は・・・」
「ちょっと待って」
ジョアンナがシーナの言葉を
彼女は信じられなかったのだ。
ヒナルクが獣人・・・右翼か左翼へ配置になるシーナとルーナより強いとは思えなかったのだ。
「残念ですが・・・私では、ご主人の足下にも及びません」
スゥの言葉に驚き、スゥとさくらを交互にみる。
「・・・すみません。
ヒナルクさんは高度の知識があるのは分かりましたが『強い』とは」
「そのうち分かります」
スゥの断言にシーナとルーナが頷くと、ジョシュアとジョアンナは困ったように顔を見合わせた。
ジョシュアとジョアンナの実力は・・・弱かった。
よくこれでこのダンジョンに入ったと思えるくらいに。
レベルの差はあるが、パーティになっていないため『パーティボーナス』はない。
自分たちで強くなってもらうしかないだろう。
魔法も一番弱いルーナと同じかそれ以下だ。
「
さくらの呆れた声に顔を真っ赤にして頷くジョシュアとジョアンナ。
「今までも、この程度のダンジョンに入っていたから・・・」
「でも『ボス戦以外』は戦ってなかっただろ?」
〖 そうですね。
『共闘メンバーが『隠密』の魔導具を持っていて、ボス部屋までそれを使っていた』と言っていました。
ボス戦は全員で戦います。
15人でボスと戦っていたんですよね?
それを『2人で出来る』と思える心情が不思議です。
どんな心境でそう思うのですか?
是非ともご教授頂きたい 〗
「あ、あの・・・」
「私たちが愚かだったのです。
いま指摘されて気付きました。
・・・私たちは15人で『ズル』をしてきたのです。
そんな私たちが『今まで出来たから』と思い上がり、考えなしでダンジョンに入った結果・・・このような
本当に『愚か』としか言いようがありません」
「・・・お恥ずかしい限りです」
「そうだね〜。
レベルも一番低いルーナよりさらに低いし、魔法も弱い。
それでよく『強敵の中』に入ったねえ〜。
入り口付近で『実力に合っていない』って判断して出ていくよね。
・・・まあ、自力で頑張って強くなりな」
〖 そうですね。
今まで『だらけてきた』結果がこれです。
良かったですね。
これが『実力を過信した悪い見本』ですよ 〗
「いつもご主人さまや師匠が言ってる。
『実力を過信すれば死に繋がる』って・・・」
ルーナの言葉に恥ずかしさからか、顔を上げられない2人。
シーナは『過去の自分』を思い出しているのだろう。
パーティを解除された直後の自分を。
だからこそ、困惑した表情を見せていた。
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