第178話
「まったく。もう。さくらったら」
ヒナリはテレビに映ったさくらに苦笑する。
さくらが『金ダライ』の魔法で男たちを気絶させて、馬車に乗った男性に男たちを渡してお金の入った袋を受け取ったのも、馬車が去ってからハンドくんにお金の袋を取り上げられたのも見ていた。
今回は『馬車が去ってから』のさくらとハンドくんの『やりとり』だけ音声が聞こえた。
と言ってもハンドくんは『チャット』で会話してるようで『さくらの声』だけ聞こえたが。
その後は
きっとハンドくんは自分たちに『さくらの様子を見せる』ため、『外でごはん』にしたのだろう。
そしてさくらは『見られている』ことに気付いていない。
だから『
部屋の中には『結界』が張られているため、さくらの様子を見ることができないのだ。
一度だけ、ハンドくんが『さくらの寝姿』を
相変わらず『ダッちゃん』を抱きしめて『右側を下』にして眠っているさくら。
いつも3人で寝るときはこの姿だった。
そしてさくらの右側がヒナリ。反対側がヨルクだ。
ハンドくんが頬を『ツンツン』と触ると「んー。ひにゃり〜」と寝ぼけた声を出して
それをみた『ひにゃり』ことヒナリは「もう・・・」と苦笑する。
さくらが寝ていると、ヒナリはよくさくらの頬を触っていたのだ。
ヒナリは時々、その映像をみながらタブレットを・・・さくらの顔を撫でている。
とても愛しそうに。
「楽しそうでしたね」
「ああ。『ハンドくんが一緒』だからな」
ジタンとヨルクは『笑顔のさくら』が見られて嬉しそうだ。
ヨルクはハンドくんに図書室で『冒険旅行』の話を聞いた時から『さくらが泣いていたら、どんなに遠くても飛んでいく』と心に決めていた。
しかし、さくらの冒険に必要と思われる『準備』をしてて気が付いた。
ドリトス様もセルヴァンも。そしてジタンでさえも『さくらを信じている』ことを。
さくらは、どんなに辛いことに直面しても必ず立ち上がり、真っ直ぐ前を向いて歩けると信じていることを。
『親鳥なら雛を信じろ』
さくらが『日射病』で倒れた時にセルヴァンに言われた言葉だ。
・・・オレはさくらを『本当の意味』で信じていなかった。
そしてセルヴァンに聞いた。
「『さくらを信じる』ってなんだ?」と。
セルヴァンは驚いていた。
でも「さくらがすること、したいことを『見守る』ことだ」と教えてくれた。
オレには難しい・・・
しかし「『準備をしっかりして送り出す』のも見守ること」だと言われて、自分で出来る範囲の準備をセルヴァンと一緒にした。
上着に思いつく様々な『付与』を手当り次第つけていた時に、創造神から『着用者の周りの空気だけ清浄化させる』魔法を教わった。
時間が掛かったが、それでも取得する事ができた。
セルヴァンの方が先に魔法を取得出来たのが悔しかったが・・・
あとから『清浄化』魔法を知ったドリトス様が、数時間で取得した上、3日後には『無詠唱』で使えるようになっていた。
ドリトス様の場合、今は使える魔法のすべてが『無詠唱』だ。
さくらに「構造が分かれば無詠唱でも魔法が使えるんだよ」と教えられたが、ヨルクには難しかった。
さくらが『冒険旅行』に行ってから、ドリトス様はセルヴァンと共に魔法の構造を研究している。
生活魔法や治癒・回復魔法など無詠唱で早く使える方が良いものを選んでいるらしい。
そんなドリトス様は、さくらでも使えそうな武器とハンドくんが使う
接近戦はハンドくんがすると言っていた。
だからさくらには後方からでも使える武器を作っていた。
もちろん2人の主な攻撃は『強力な魔法』だろう。
そしてジタンは『何も出来なかった』。
国王代理の責務と自身の戴冠式の準備があったからだ。
そのため小さい頃に祖母から贈られた『純銀製の短剣』に神の加護を付与してもらう事にした。
しかし神から『下手な事はできない』と言われた。
それは強い『神の加護』を付与された物は『聖なる物』として神殿に『奪われる』可能性が高いそうだ。
それがあったため、従来付与されていた『魔除け』を『魔物除け』に。
半径10メートルの『範囲結界』を追加してもらった。
『純銀製』のため、その2つは『お守り』として付与されていてもおかしくはないらしい。
特に『範囲結界』は強力で、範囲外の『魔物の声』が届かなくなっている。
そして『攻撃対象』の魔物とは範囲内であっても『心が繋がらない』ようになっている。
そして『アイテムボックス』内に入っていても、その効果は有効だ。
神々も『さくらを守るため』に色々と考えていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。