第177話
金ダライを頭に受けた隊長は、今までの疲れが一気に出たのか5日も眠りこんでいた。
スッキリと気持ち良い気分で目を覚した隊長は、眠っている間に『奴隷商人襲撃未遂事件』もスッキリ片付いていたことを知った。
「ヒナルク様がすべき事をご指示下さいました」
副隊長は隊長が倒れてしまったため、ヒナルク様が『何を警戒しているか』が分からず宿へ訪ねて行った。
そこで『すべきこと』を聞かされた。
神殿の警備を強化して、少女たちの保護と彼女たちへの接触を『最小限』に。
そして『神官の家族の確認』も忘れずに。
いくら『神に仕える者』と言っても、家族を『人質』にされたら?
『他者』と『家族』を天秤にかけられたら『家族』を取ってもおかしくないだろ?
ヒナルク様の指示に従った結果、『家族の所在が分からない神官がいる』ことが分かった。
その神官を問い
家族が喜んでいる間にその少年は姿を消したため何処の誰かも分からないらしい。
それを聞いて号泣した神官の証言で飛び込んだアジトでは、10人近い男たちが昏倒した状態で縛られて床に転がっていた。
『神官の甥』が救い出されたのだ。
犯人が『どうなっているか』なんて分かりそうなものだった。
奴隷商人の警護に向かった別の警備隊員たちは、奴隷たちを乗せた奴隷商人と無事に合流出来た。
商人の話では、街道で男たち2人を捕えた『青色の髪』をした小柄な少年が「『犯罪奴隷』を捕まえた」と声を掛けてきた。
確認のため2人を鑑定石で確認したら、間違いなく『犯罪奴隷に落ちるだけの罪を犯した者』だった。
そのため、正規の手続きをして2人は『犯罪奴隷』として買い取った。
『正規の手続き』と言っても、鑑定石で罪状が確認されれば皮製の『隷属の首輪』を罪人に着けるだけだ。
その際に首輪に付けられた『魔石』に魔法で『現在の主人』を登録する。
『隷属の首輪』を着けられた奴隷は『日常生活以外の記憶』が消される。
主人が代わるなどで首輪を外されれば、首輪を付けていた間の記憶が奴隷から消される。
『情報が保持』されるのは、『隷属の首輪』を着けない『普通の奴隷』だけだ。
ちなみに『隷属の首輪』は『使い捨て』。
付けられている魔石が小さくて『一回きり』しか使えないからだ。
興味津々で見ていた少年に『隷属の首輪』の説明をして、奴隷2人分の金を渡した。
犯罪奴隷の金額は『罪状』によって変わる。
そしてその金額は『鑑定石』が決める。
少年から買い取った2人の金額は『金貨2,400枚』だった。
・・・国を上げて大捜査されていた『大犯罪者2人』が『青髪の少年』に無傷で捕まって『犯罪奴隷』となったニュースは、翌日には国内外に知れ渡った。
そして年二回、王都で開催される『国主催の奴隷市』の目玉出品となった。
さくらは『周りに騒がれることをした』とは思っていない。
ただ『少女たち』を助けるために『奴隷商人』の存在が必要だっただけだ。
そして、その奴隷商人を殺そうとした連中が『ジャマだったから捕まえた』だけだ。
鑑定魔法で『たくさんの罪状』があるのに気付き、ハンドくんから『『犯罪奴隷』としての資質は十分ですね』と言われた。
そして馬車で来た奴隷商人に『いらないから売り払った』。
・・・それだけなのだ。
ちなみに使った魔法は『
隊長がひっくり返ったあとでハンドくんに指摘されて気付いたのだが、『金ダライ』の魔法が『レベル2』にレベルアップしていた。
だから『威力を試してみた』だけだ。
・・・呆気なく昏倒するとは思わなかったが。
それも『隷属の首輪』を着けられても、乱暴に『檻つき』の奴隷専用馬車に投げ込まれても起きなかったのだから、結構威力が強くなったのかも知れない。
今までみたいに『コントのノリ』で使えないことにさくらは落ち込んだが『大丈夫です。『犯罪者』に使えば良いのですから』とハンドくんに言われて喜んだのだった。
それより、なにより。
『お金は全部預かります』
「えー!頑張ったのにー!ごほーび!ごほーび!」
奴隷商人から貰ってすぐにアイテムボックスにしまった金貨を、麻袋ごとハンドくんに『没収』されたことの方が、さくらにとって『大問題』だった。
ちなみに・・・
『さっき頑張った『ごほうび』です』
「わーい!」
特別にアイスが3種類入ったワッフルコーンを『お昼ごはん』のあとにもらって「1個多い〜♪」と喜んださくらだった。
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