第6話


そしてアリステイドでもスマホのゲームは遊べるそうだが、個人を特定出来るSNSは投稿できないらしい。

まあ「死んでるハズの人間」が投稿してちゃダメよね。


「じゃあ別のアカウントを作ればいいわね」と言ったら苦笑されたが止められなかった。



「ところで『アイテムボックス』ってどう使うの?」


メニュー画面を開いて『アイテムボックス』をツンツンと突っついてみる。

グレーの画面が現れて、中央にはゲームのように「何も入っていません」という表示。

まだ何も入れていないから当然といえば当然なのだが。



「『アイテムボックス』を使うには、まずバッグを登録します。バッグ自体はどのような物でも構いません」


リュックでもトートバッグでもウエストポーチでも巾着でも構わないらしく、登録も制限なく出来るらしい。

登録方法も、『設定』から簡単に登録が出来るようだ。


メニュー画面にある『カメラ』『目覚まし時計』『アラーム』『スケジュール』『カレンダー』『メモ帳』等様々な表示の中に『設定』があった。

『設定』の中に『チャージ』『音量』『接続』等スマホでよく見る設定画面の中に『登録』を見つけ、開いてみると『アイテムボックス登録』があった。


「バッグに触れた状態で画面をタップして頂くだけで登録出来ます」


よし。あとで家にあるバッグを全部登録しておこう。

そして一つだけ残して全部アイテムボックスに入れておけば、壊れたバッグも愛用し過ぎて傷んだバッグも『新品同様』になる・・・



「あれ?履き古した靴やコート等も、『アイテムボックス』に入れたら元のようになる?クリーニングに出していた服や『せんべい布団』でも?」



私の言葉に目の前のべっぴんさんは目を丸くして固まってたがクスクスと笑い出した。


「大丈夫ですよ。酷く汚れていたり千切れたりボロボロになった物でも新品同様に戻ります」


状態によっては数日かかるらしいが、大抵の物は3時間待てば使えるようになるようだ。



「じゃあ、食べ物を入れたら?」


ご飯がお米に、鳥の唐揚げがニワトリに戻ったりする?


「通販で買った冷凍のたこ焼きが生きたタコに戻ってクネクネと~」と言いながら両手を広げて身体をクネクネさせたら大いにウケた。


答えは「食品用のボックスが別にあります」だった。

こちらは暖かいものはそのまま暖かく、冷たいものは冷たいままで保存が可能。

また、温度と時間を設定する事で『煮込み料理を作って保存』も可能。

そして便利なことに食品ボックスには時間設定出来る『レンジ』付き。


「チーンって鳴る?」って聞いたら鳴らないらしい。

その代わり、勝手にメニュー画面が開いて『お知らせ』してくれるそうだ。

流石に周りに「チーン」って聞こえたら大変だもんね。



散々話を脱線しつつ『アイテムボックスの使い方講習』に戻った。と言っても単純だった。

バッグに手を触れたまま、反対の手でアイテムボックスに入れる対象物に触るだけ。


取り出すときは、片方の手のひらを前に出した状態で、メニューの『アイテムボックス』から対象物の名前をタップするだけ。

それだけで目の前に現れるらしい。

そして収納数に制限も上限もないそうだ。



また、元の世界に残してきた私の愛車は、少し時間がかかるがこちらへ持ち込んで貰えることになった。

向こうの世界にはガソリンがないので、魔石で動くようにしてくれるらしい。

ついでにパンクや整備が不要になるようにもしてくれるらしい。

もちろんアイテムボックスが車庫になる。



「さっきも説明に出てきたけど『魔石』ってなに?」と聞いたら魔力を持った石とのこと。

いや、それは読んで字の如くだが。

簡単に言えば『乾電池みたいなもの』だそうだ。

魔石によってランクがあり、ランクが低いほど魔力が少ないらしい。

そして魔力が尽きればただの石。

魔力の充填は出来ない。


その中でも乙女が作り出す魔石は純度が高く、1年は魔力が切れない。

その分、高値で取り引きされているらしい。


私が作った魔石も高値で取り引きされるそうだが、日本円で換算すると一つ500万円を下らないらしい。


元手がタダなんだから稼ぎまくりよね。

これで通販やネットショッピングで、空き部屋に家電揃えまくりだわ〜。



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