第3話
この世界には『魔物』が存在している。
その魔物は濃い瘴気から生まれる。
私の世界で例えるなら動物に近いだろうか。
魔物が倒されると、体内に溜まった澱が凝固して魔石となる。
一般に流通している魔石はこれらしい。
「先代の乙女が亡くなって1年。次の乙女がこの世界に召喚されず、大気が
召喚って誰がやってるの?と尋ねたら「この世界の創造主が『聖なる乙女』に相応しい人を選んで召喚します」とのこと。
でも、中々召喚されないため私の世界を覗いていた時に私を見つけた。
どんなに辛くても苦しくても諦めず生きていた。
肉体は不完全ながらもその世界の環境にあわせて成長していて『聖なる乙女』に選ぶことは出来ない。
それが分かっていてもついつい見ていたら、自分でも気付かないうちに私に『加護』を与えてしまっていたそうだ。
「見守っているつもりは無かったのです。ただ目が離せなくなったと言いましょうか・・・
貴女は体内に『暖かい気』を持っています。その『気』で周りの人たちの凍った心を癒やしていく姿が印象的で・・・
次の乙女が現れなくて焦っていた私の心まで、いつの間にか癒やしてもらっていたのです」
その代償として、私は家族から、元の世界から引き離された。
もうね。話していたら、泣いても騒いでも暴れても、生きて母のいる世界へ帰れないんだって理解したよ。
ただ死んだら帰りたいとは思った。
私が死んだら、せめて遺骨だけでも元の世界にある家族の墓へ納めてもらう条件で、この世界で生きていくことにした。
死体で戻ったら、私は『不審死』として解剖されるだろう。
何年、何十年も前に戸籍上では死亡している私が、家族の墓へ入ることは叶わないでしょう。
だから、私は異世界で生きていく。
その代わり、骨だけでも家族の元へ帰らせてほしい。
そう頼んだら「必ず」と約束してくれた。
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