第二話 いざ出発!
翌日の早朝、私の家の前には、私とタケ兄に加えて、コジローとマサが集まっていた。
みんながリュックを背負い、準備万端である。
「本当に行くの? 危なくないかな?」
小心者のマサは、あまり乗り気ではないらしい。
無理やり連れていくのは少しかわいそうだが、ロボットのパーツをひとつでも多く持ち帰るためには、一人でも多くの人手が必要なのだ。
「マサ、こいつは一度言ったことは絶対やる。諦めろ」
タケ兄が優しくマサを
面倒見が良くて優しいタケ兄は、私の自慢の兄である。
「早く行こうぜ。他にもやることがたくさんあるからよ」
そう言ったコジローは、眠そうにあくびをする。
コジローはコンピューターの扱いが得意で、私のカルクDXに載っているコンピューターもコジローが作ってくれた。
寝る時間を削ってまでコンピューターをいじるほどのオタクである。
「ゴミ山天国に向けて、出発!」
これから向かうクレーターの先にある大きなゴミ山を、私は『ゴミ山天国』と命名した。
私はかけ声をあげ、私たちが住む村から、ゴミ山天国がある西へ向けて歩き出した。
ゴミ山天国には、どんなお宝が眠っているだろうか。今からワクワクが止まらない。ワクワクし過ぎて昨日もあまり眠れなかったほどである。
「カルクDX用の性能がいいレーダーセンサが見つかるといいな。あと、できれば大きいバッテリーも欲しい」
私がそう言うと、コジローが答えた。
「俺は計算の処理が速いチップが見つかれば満足だな」
どうやらコジローもゴミ山天国に期待しているようだ。
周りを見渡せば、薄い板を張り合わせただけの家々が目に入る。出入口にドアはなく、カーテンを取り付けてあるだけのところがほとんどだ。
まだ誰も起きている人はいないようで、辺りは静寂に包まれている。
いつも見ている村の様子も、今日はなぜか新鮮に感じた。朝が早いからだろうか。
日はまだ昇ったばかりで、空気は肌寒い。
「あっ、水筒忘れた」
歩き出して数分、村の外に出たところで、私は突然そのことに気がついた。
お宝探しにワクワクし過ぎて、荷物の確認を怠ってしまった。
「何やってんだか。一回戻るか?」
タケ兄がそう言ってくれる。
しかし、私の頭は「戻る」などといった消極的な言葉を持っていない。
「いや大丈夫。途中に昔使ってた井戸があったでしょ。ちょうどいい入れ物持ってるからそれを水筒代わりにする」
これから向かうクレーターまでの間に、数年前まで使っていた井戸があった。あそこはまだ水がくめたはずだ。
「まあ、お前がいいならいいよ。俺も水は多めに持ってきてるしな」
タケ兄は冒険の準備に余念がなく、水筒を三本も持ってきていた。
さすがタケ兄である。
「では改めて、出発!」
私たちはゴミ山天国へ向けて歩き出した。
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