第114話 灰色の瞳

山賊たちは、逃げ惑うリーフを暇つぶしのように弄ぶ。


リーフは山賊たちの輪に中に放り込まれ、逃げようとしても捕まり、少しずつ服を引き破られていた。

棒で殴られた肩をかばい、必死で服をつなぎとめ、走るリーフ。しかしすぐに男たちの腕の中に捕まってしまう。


その様子を、少し離れた木の陰からサスケとロックが見ていた。

サスケはすぐに助けに行こうとしたが、ロックに阻まれた。

「ロック様・・・なぜ?このままではリーフ様は・・・。」

「うん、だってあの子面白いんだもん。いつも計算できないようなトラブルばかりでさ。もっと、あの子のいろんな顔見てみたい。たとえば、あんな荒くれた男たちに犯されたらどんな顔するのかな・・・?」

サスケは主の顔を見た。眉一つ動かさない、口角を少しだけ挙げた少年の顔。紅い髪が遠くの焚火で怪しく輝いている。

「サスケが悪いんだよ。さっさとやらないから。あーあ、可哀想。初めてがあんな連中となんてね。」

今すぐ、男たちにいたぶられているあの哀れな少女を救いたいサスケだったが、いずれ王者になるであろう、そして生涯の主であるこの少年には逆らえなかった。深く首を垂れる。

「ふふ、気になる女の子が目の前で犯されるかもしれないのに、何もできないサスケの顔を見るのもいいねえ。」

と言ってロックは微笑だ。



リーフの上半身はほとんど裸で、やっとスカートの一部を押さえているという状態になった。

大きな胸は走るたびに揺れて、男たちの興奮は最高潮に高まる。


息も絶え絶え、白い体はピンク色に汗ばむ。


興奮を抑えきれなくなった一人の男が、ついにリーフを地面に押し倒し、スカートの残りをはぎ取る。

「やめてっ!」

それが合図のように、他の男たちもリーフに群がってきた。

あちこちから手が伸びてきて、手足を押さえつけられる。リーフは恐怖で声も出なくなっていた。


それまで退屈そうに見ていた灰色の瞳のボスが、リーフの太ももにある妖精の紋章を見つけ動き出す。


「まて」


リーフの体をまさぐっていた手が一斉に止まる。男たちの視線はボスに注がれた。


「その女は、オレがもらう。お前たちはこれで酒と女を買って来い。」


ボスはずっしりした袋から、無造作に金貨をばらまいた。

「今奪った品も街で売ってこい。その金もお前たちの好きにしていい。」

ボスは裸で寝転がるリーフの腕を引っ張りを起こす。殴られた方の方の腕だったのでリーフは痛みで呻いた。


目の前の獲物を奪われた男たちは不満そうだったが、ボスがばらまいた金貨を拾い集めてどこかへ消えていった。若いボスの権力は絶対なのであろう。

「これだけ大盤振る舞いってことは、朝まで帰ってくるなってこったな。今夜は一人でお楽しみか。

」と言う男の声がわざとらしく森に響く・・・。


「・・・・」震えでまだ口がきけないリーフ。

ボスはリーフを抱きかかえて、大きな馬に乗せる。


(ボクの、ボクだけの冒険がたった二日で終わっちゃった・・・。)

情けなくて涙が出る。

(ロックは大丈夫だろうか・・・。サスケさんがいるからどうにかなるか・・・。)

何も知らないリーフはあのドジで明るい赤毛の少年のことを心配していた。


ボスの馬は、旅人では絶対通らないような棘をかき分けて、小さな洞窟を抜け、岩に張り付いたようなアジトに着いた。建物の半分を岩の壁を利用した造りだ。

灰色の瞳のボスが扉の横にある穴に鍵を差し込むと、扉ではないところが開いた。


ボスは無言でリーフをベッドに押し倒す。リーフは抵抗したが、すごい力で抑えられて足を開かされた。

そして、ボスは太ももにある妖精の紋章を凝視する。

「これは・・・やはり、同じだ」

「おなじ・・・?」


ボスは裸のリーフを連れて建物の奥へと行く。そこには重厚な扉があり、開くと、なんと滝が出てきた。

「うわっ・・・」

思わず声を上げるリーフ。その滝はあまりにも美しかった。

洞窟にある小さな滝だが、天井部分の穴から光が漏れて、虹を生み出し、紫や緑の不思議な草や花を照らしている。


そこに、一人の人影があった。

真っ白な服を着て、真っ白でまっすぐな髪をした、細い人。

こちらに気付いて振り向いた顔は、女か男か分からない、人間離れした美しさだった。


ボスと同じ灰色の瞳。


リーフの太ももの妖精の紋章が熱くなり、赤く光った。




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