第92話 森の中

とにかくリーフは、クロちゃんの足跡を追って森の中をひた走る・・・。


最初は、木が少なく見通しがいい景色だったが、どんどん辺りが暗くなり木が生い茂り、気が付いた時には木と背の高い草に囲まれて、右も左も分からなくなっていた。


「げっ!これはやばいぞ・・・」

道を見失ったことに気付くリーフ。

道のない森では、本当に方角が分からない。


「クロちゃ~ん・・・」

頼りない声でクロちゃんを呼ぶ。もはやリーフが助けるというより、クロちゃんに助けてもらいたい心境だった。


「クロちゃ~ん・・・」


ガサッ


後ろの方で何かの音が。

「クロちゃん?」


ではなさそうだ。


「何だろう・・・。以前は・・・。この世界に来たばかりの時は、頭が二つあるオオカミだったんだよなぁ・・・。あの時はアーサーさんが助けてくれて・・・・。今回は違うよね・・・?」


後ずさりしようとすると、後ろから何かに背中を掴まれた。

「ひやぁあああっ!」

変な声が出てしまうリーフ。

バッと振り向くと、それはブルーだった。


「あああ~!!よかったぁあああ!ブルーさんだぁ!」

いっきに気が抜ける。しかしブルーの表情を見てドキッとした。


無表情で、冷たい青い瞳がリーフを見下ろす。

「あの・・・ブルー?」

ブルーはリーフを木に思い切り押し付けた。


「いたっ・・・。なに・・・」

打ち付けられた背中が痛い。

ブルーはリーフにキスをしてきた。驚いたリーフが顔を逸らすと、乱暴に顎を掴んでまたキスをする。


さらに襟を掴んでリーフの服を上から下に破った。

薄い下着を着ていたおかげで裸にはならなかったが、体の大半はあらわになる。


「やめてよ!」

なんとか唇から逃れるリーフ。慌てて、裂けた服を拾い集めようとするが、かかんだところをブルーに押し倒された。


ブルーはリーフの顔をじっと見つめる。

「どうしておまえは・・・」

やめて、と抵抗するリーフの首筋に唇を這わせる。

「あのクルトとかいう男となぜキスをしたんだ・・・!」

「なっ・・・どうしてそれを知ってるの?!」

「リーフ!」またキスをする。ブルーの手がリーフの胸元でうごめく。


あの、恐怖にも似た感覚を思い出して心臓がバクバクし始める。

「や・・めてっ・・・」

唇が自由になっても声が上手く出ない。

ブルーは押さえつけて続けている。

「やめて・・よ・・・。ブルーはもうボクとした・・・んだから・・・いいじゃない・・・・。

ブルーの赤の欠片は・・・ボクの中・・・なんでしょ・・・」

絞り出すようにしゃべった。


ブルーはリーフの手を自分の心臓に当てた。

「あつい・・・」

そこに、赤の欠片があるのを感じる。

「えっ・・・じゃあ・・・ボクたちは・・・まだ・・・?」


「いまからだ」

ブルーはリーフの体に残った下着を引き裂いた。



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