第42話 毒牙

「やめろっ!」


恐怖心を押さえて蛇男に挑みかかるリーフ。


男はリーフをコバエのように扱っていたが、リーフが腕に噛みついたときに初めて目が合った。


傷だらけの小さな黒髪の少女が、涙目(カッコ悪)になりながら闘おうとしている。


蛇男はスカーレットの上から降りて、リーフに向き直った。

肩を強く掴む。


「いたっ・・・」


そのまま体を持ち上げらる。掴まれたところがきしんだ。

足で男を蹴ろうとするがうまく動かせない。


男はリーフの首をかんだ。

「ああっ!」


男の口には2本の鋭い牙が生えている。その牙が、リーフの白い肌に突き立てられた。

一瞬激痛が走ったが、すぐにしびれたようになって何も感じなくなった。

うっすらと血が流れている感覚があった。

「やめ・・・」


なぜかすごく眠くなるリーフ。頭の芯からボーッとする。

全身に力が入らない。

男はゴクリと音を立てて血をリーフすすった。


朦朧として動けなくなったリーフをみどりのコケの上に押し倒す。


蛇男はリーフの腰から胸を這うように撫でまわし、ビリビリと洋服を引き裂いた。


「お前から先に孕ませてやろう」 地の底から響いてきたような低い声。


「いや・・だ・・・やめ・・」


体が動かず、声も出なくなってきている。

すぐ横に倒れているスカーレットも目を閉じたまま動かない。


スカーレットも牙の跡があったので、同じように男に噛まれているのだろう。


リーフに重なる男の肌はひどく冷たかった。

体中に伸びる氷のような手を振りほどこうと必死でもがくリーフ。

しかしほとんど動かせない。


(ボクはもういい・・・けど、こんなんじゃあ後から襲われるスカーレットさんを助けることなんてできないよ・・・!)


くやしくて涙が出てきた。中身は男なのに、女の人一人も助けられないなんて・・・!


リーフの涙が男の指に触れる。男はポロポロ泣くリーフを見た。


男は不思議そうな顔をして指の涙を舐める。さらに、リーフの顔を舐めまわす。

「懐かしい…味・・・。」

男はリーフの唇を舐めた。そのまま舌をねじ込む。


キスというより味を確かめるようだった。



服をすべて剥ぎ取るためにリーフをうつぶせにさせる。

太ももまで服を下ろした時、


「これは・・・!!!」


男は組み敷いていたリーフから飛びのいた。



白いリーフの太ももの裏に、紋章が刻まれている。



「妖精の婚印!」



その時


「リーフ様から離れろ・・・・!」


スカーレットが意識を取り戻していた。


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