第41話 蛇の洞窟
大蛇の手(足?)に掴まれて、森の奥に突き進むリーフとスカーレット。
この蛇に手(足)が生えてきた分、「足のない生き物」ではなくなったので、ちょっとはマシに感じるリーフ。
最悪の状況の割には少し冷静になれた。
スカーレットを見ると、蛇の手が首に絡まって気絶していた。息ができないのかもしれない!
「わっ!スカーレットさんっ!ちょっと、こらっ蛇っ!あの人が死んじゃうでしょ!首の手を離せ~~~!」
リーフが大声で叫ぶと、3つ頭の大蛇は聞いているのかいないのか、するっとスカーレットの首にかかっていた手を離した。
暗い森の奥深く、切り立った岩肌に細長い洞窟のような場所が見えてきた。
入口がトランプのダイヤのような形をしている。蛇は岩の間をズルリと這い、光の差さない洞窟の中に入っていく。
「ここは・・・・」
洞窟の中はひどく寒かった。リーフは身震いする。
何も見えないが、冷たい水が生み出す底冷えするような空気を感じられた。
蛇の手が自分の体から離れて、フッと空中に投げ出される。
岩に激突するかと思って身構えたが、ふわりとした何かに包み込まれた。
その瞬間、その何かが蛍光グリーンに発光する。
「うわぁ・・・!」
それはコケのようなものだった。クリスマスの飾りのように美しい。
その光のおかげで周りが見えるようになって驚いた。
おどろおどろしいかと思っていた洞窟の内部は、大理石のような乳白色の岩で埋め尽くされていて、宮殿の様だった。
ところどころに色とりどりの宝石も見える。
「きれい・・あ、スカーレットさん!」
スカーレットの姿が見えない。大蛇の姿も見えない。
「スカーレットさ~~ん!」
リーフは嫌な予感がして彼女を探し始めた。
一面に敷き詰められたようなグリーンのコケは、歩くたびにふわりと光った。振り向くとリーフが通った場所だけ、道しるべのように輝いている。
みどりの光を頼りにしばらく進むと、先に何か人影が見えた。
「スカーレットさん?!」
駆け寄るリーフ。
そこにはスカーレットがコケの上に横たわっていた。着ていたはずの皮でできた鎧を着ていない。
リーフはスカーレットの胸に手を当てて、生きていることを確認しひとまず安心した。
「スカーレットさん、大丈夫ですか?!早く、ここから逃げないと・・・!」
大蛇がどこかへ行っているうちにこの場所を離れたかった。
しかし、リーフの呼びかけにスカーレットは全く反応を示さない。呼吸はしているが瞼さえも動かない。
みどりのコケをむしってライト代わりにし、スカーレットをよく見ると首に二つの穴が開いたような赤い傷跡を見つけた。
「これは・・・?」
その時、何の気配も感じなかったのに、リーフのすぐ横に人の顔が現れた。
人間の男だった。真っ白な髪で顔の半分が隠れ、見えている半分には鋭い黒い目。
「だれっ!!」
リーフはとっさにスカーレットをかばう。しかしその男に引き倒されてしまった。
男はリーフなど見えないように、倒れているスカーレットに覆いかぶさり、服を脱がし始めた。
「?!なにするの!やめて!」
リーフは男の腕に掴みかかる。無表情の男はリーフを肘で殴り飛ばした。
男の肘はリーフのみぞおちに当たってしばらく呼吸ができなくなる。
その間にもスカーレットは服を脱がされ、白い肌をあらわにされていた。
(孕ませるのにちょうどいい)
大蛇がそういっていたのを思い出すリーフ。
「まさかあの男は・・・」
と思った時、男の背中が見えた。
蛇のような金色の鱗が光っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます