通信講座はじめました

二十一通目 スノー・エルラの報告

ハヤテタツヒト様


お初にお目にかかります。

私はメーシュ国、

王后直属特殊魔導士部隊ムーブグローシュ、

第二隊隊長スノー・エルラと申します。

突然のお手紙、大変申し訳ございません。


私は、かねてよりハヤテタツヒト様と交流を行っている、

モルガン・ローサリーの学友であり、親友であります。

この手紙は、モルガン家の執事に依頼し、送って頂きました。


さて、大変恐縮ながら本題に入らせて頂きます。

以前オーシュ騎士団が我がメーシュへ演習に来られた際、

モルガン氏より手紙が互いに届く原因を調べて欲しいと依頼がありました。

そのモルガン氏ですが、ドラゴン討伐隊として危険な任務へすでに向かっており、

あなた様に出発前に手紙を書く時間もなかったと伺っています。


私は、モルガン氏と入れ違ちがいになったタイミングで、

彼女の家に向かうことになりましたが、

きちんと調査を行わせて頂きました。


結論を申し上げますと、モルガン氏の住まいに取り付けられた、

配達人に手紙の送付依頼を行う箱が、

膨大な魔力によって空間がねじ曲がり、

あなた様の部屋へと手紙が飛んで行ってしまっているようです。


幸い配達依頼の箱はモルガン家専用となっていること、

また、貴族が手紙を送ることを、

わざわざ箱で依頼することなど本来ないため、

このことは全く公にはなっていません。


オブジェようなものだった依頼用の箱ですが、

たまたま宛先の間違いを指摘した、

その時は重要ではなかった手紙のために使用したことで、

今回のことが明るみに出たと考えられます。


また、あなた様のお住まいの近くにある、

送付依頼用の箱についても、

おそらく同様のことが起こっていると考えて、間違いないでしょう。

そのことについて、問題などありますでしょうか。

モルガン家同様に専用の箱ならば良いのですが、

多くの人が依頼した場合、

それぞれの手紙が、どこかに飛んでいるはずです。


ただ、何度かモルガン氏と交流を重ねているとの結果の通り、

ここからは、さらに詳しく調べなければ断定できませんが、

一度どこかに飛ぶと同じ場所へ送られる性質があると推測できます。


取り急ぎこのお手紙をお送りさせて頂きましたが、

私はこのことを公にせず、調査を進めていきます。

何が原因でこうなっているのかをつきとめなければ、

立場上いたずらに騒ぐこともできません。

また何かわかりましたら、すぐにご連絡差し上げます。


それでは、要件のみで大変申し訳ございませんが、

失礼いたします。


P.S

モルガン氏より、あなた様がこちらのことについて、

興味があると聞き及んでいたため、吟遊詩人の戯曲を三点ほど同封します。





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