緑髪
敵陣にある扉を警戒無しに開けてはいけない。
それが重要区画の扉であるのならば猶更だ。
更には廊下の端に位置して廊下全てを射程に捕らえている場合など猶更だ。
「
扉が開くのを合図に、青い閃光が廊下を奔る。
触れれば死んで、その後に炭になる。そうする為に編まれた殺意の形だ。
へっ、とケイジの口から笑いが零れる。馬鹿正直に自分で扉を開けていたらどうなっていたかを考えるのは止めておいた方が良いだろう。
「――やったかっ!」
一方、ソレをやってくれた方は随分と楽しそうだ。フロッグマン側に立って居ながらゲコゲコ鳴かずに随分と流暢に言葉を操っていらっしゃる。隣の部屋に同じように隠れた
尖った耳で。
子供の様な体躯の。
緑色の髪をした奴が見えた。
「……ファック」
マジでついてねぇ。言いながら
この距離なら
予想通り大人の顔立ちをしていた。髭が生えていた。ノームだった。
「やっ、やめ――」
「
ノームを喋らせてはいけない。
「……」
意識を失ったノームはそれでも生存をアピールする様にぴくぴくしていた。「……」そこで漸くケイジは馬乗りを止めて立ち上がる。衝撃で随分と仕掛けが緩くなってしまったSGにもう一度銃としての働きを求める気は無いので、シェルを抜いて捨てる様に放り投げた。
「室内、クリアですわ。他が居たらどうするつもりでしたの?」
「……君を信じていたのさ、ベイビィ」
「……」
汚物を見る様な目で見られた。受けなかったらしい。残念だ。
「待ち伏せを予想したのは貴方でしたが……これも予想通りですの?」
「まさか。精々カエルの群れが机をバリケードに撃ち込んでくる――くれぇの予想だよ」
「つまり?」
「完全に予想外。さっさと上の指示を仰いどこうぜ」
下っ端の手にゃ余るぜ、と言いながら、
――知ってるから心配するな。
ルイからそんな雑な答えが返って来て、ジュリオからは終わったのなら上陸部隊の援護に行けと言う次のお仕事が与えられてしまった。「……」下っ端とは言え、この扱いは中々に酷いのでは無いだろうか? ケイジはそう思う。
「……っーわけで俺は船尾に行くけどよ。嬢ちゃん、テメェはどうする?」
「コレはどうしますの?」
「後続が来るってよ。そいつ等に引き渡した後は――まぁ、果汁百パーセントって感じじゃね?」
「雑巾の方がしっくりくるのではなくて?」
「違いねぇ」ケイジがくっ、と笑う。「それで?」
「そうですわね……ご一緒いたしますわ。私、まだ暴れたりないですから」
にっこり笑顔。
「……ヤァ、素敵だぜ? 一歩間違えりゃ惚れちまいそうだ」
「あら光栄」
そんな適当な会話をしながら、環境へ向かう。途中、船尾の階段でロブと擦れ違う。「弾、まだある?」どうやらジュリオ経由で連絡が言って、ケイジ達へ武器の供給をしてくれるらしい。お嬢さんが弾薬の補給で済ませるのに対し、ケイジは銃を寄越せと餌をねだる小鳥の様に手をくいくいと動かした。
「やっぱり壊れた?」
「あぁ、残念だぜ。普段使ってるのと同じ様に
「普段はどこのメーカー?」
「Bラック」
「……あー……無い。これで我慢して」
どうやらカエル共に鉄の芸術品であるBラック社の仕事は理解できなかったらしい。いや、所詮は鹵獲品だ。つまりBラック社のSGを使う奴はここ程度では死なないと言うことだろう。そんな結論に達し、少しケイジは笑った。贔屓のメーカーの『良かった探し』は楽しいものだ。そんなケイジに『代わりに』と、ロブが木目調のSGを渡してきた。
「……どこの?」
「
「ヘェ? カエル共にしちゃ良い趣味だな」
「持ち帰って売る気だったのに……」
「ヘイヘイヘイ、小遣い稼ぎにはまだ早くねぇかぃ
「別に良いよ。次の仕事頑張ってね」
あっさりと高価なSGを譲り、激励も忘れない。なんとも立派な同僚の様に思える。
「……」
が、また尻を触られたのでそろそろどうにかした方が良いかもしれない。
あとがき
言い訳:昨日読んだ漫画の続きが気に成ったので、今日も漫画喫茶に行ったので遅れた。かもめチャンス。
次は自転車とかレースものでも書くかな……(書けるとは言っていない)
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