神さま日和 下
第三条 外にだすこと。
とは言っても、神様を外に出さないのも困ったことになる。
神様は基本的に怠けものだ。たまには怠けるために無い命を賭ける神様もいる。
その傾向を更に加速させたのはネットだ。国民にネット接続が基本権利化して以降、神様もその恩恵を享受した。
権利を得るための、労働の義務が発生しない神様はネットでエンタメし放題だ。
さらにネットのエンタメのほとんどは無料なので、第一条にも引っかからない。
なんというパラダイス。
そのため、ネット廃神様とかが現れる始末で、そうならないためにも、外出という行為は重要だ。
「夏だ、ということで海に行くぞ」
「あついー、部屋の中でクーラーがいいー」
「そういって腹こわしたのは誰でしたか。いいから行くぞ」
「うえー」
「……かき氷とか焼きそばとか、屋台がいっぱいあるのにな。そうか、行かないか」
「行く行こう行かないの?」
第四条 飴と鞭を使うこと。
神様は常に遊びへと堕落する。
神様達にとってはこの世界は芸能人が休暇中に過ごすハワイみたいなものだから仕方ないと言えば仕方ない。
しかし、そのまま遊び尽くされても、神様付きの俺たちにとっては迷惑である。
だからといって厳しくし過ぎると、神様のテンションゲージがどんどん下がり、終いには願いが無かった事にされてしまう。
要するにバランスだ。鞭の後には飴を与えること。
これが良い神様付きの鉄則である。
「はー、海行ってかき氷食べて帰ってきて冷麺食べて、そして最後はお風呂上がりの新ジャンルを飲んでしーあーわーせー」
「それは良かったな」
「ヨリタカの願いを叶えて心底良かったと思うよー」
「恐縮でございますっと、ほら、生姜飴」
「おー、ありがとー。ヨリタカ愛してるよー」
「へいへい、ありがとうよ。ちょろいな」
「あまひー」
第五条 願いは明かさないこと。
神様は必ずしも、すべての人間の願いを叶える訳ではない。
どんな願いが好みなのか、どんな人柄が好みなのか、これらは神様の個神情報だ。
他人にも、他の神様にも教えることはなるべくしたくない。
このことを守るということは、神様と神様付きの信頼関係にも重要な意味を持つ。
だから、この文を読んでいる君にも、俺、ヨリタカが何を神様に願ったのかを語ることはできない。あしからず。
「えっとねー、実はね、ヨリタカの願い事ってねー、ぷくく」
「おまえが言うなよ!」
以上が、神様とうまく付き合うための五ヶ条だ。
もし、君の願いを叶える神様と出会えた時、参考にしてほしい。
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