年始連休と精霊の愚痴
「今年はなんでこんなに初詣がばらけてるの」
「ああ、今年は四日を休めば年末から六日までお休みにできるからな」
「こっちはお陰で三十一日から昨日までずっとお仕事だったんだからね!」
「それはそれは、ご苦労様で」
「しかも変な社長がお年玉とか配るせいでさらに仕事増えたし!」
「タイムリーな話題だな、それ」
「まあ私も拡散したけど」
「やってたのかよ」
「お金欲しい、切実に」
「どんどん世俗に溺れていないか、お前」
「お金があれば、願い叶えなくても良いじゃない。最近はお金があれば解決出来る願い事ばっかだし、私たちにお金なんてあるわけないのにさ!」
「願い事が世俗に塗れているのか……」
「なので、お金で解決する願い事は受けることは受けるけど、除去してるのよね。キリがないし」
「まじか、今度から気を付けよう」
「あと、商売繁盛家内安全交通安全子宝祈願縁結びとかのよくある願い事は自動的に軽度願い事対象となって簡単な加護が受けられます」
「まじか、願い得じゃん」
「でも、軽いやつなので本人が気を付けなきゃいけないけどね。強化するにはお札をどうぞ」
「商売逞しいな」
「タダほど信用がないものはないでしょー。代価を払うから、人は安心するんだよ。お米がお金になった、それだけの違い」
「なるほど、そうかもな」
「お金が入れば、社の保全にも役立つしね。ぎぶみーお賽銭」
「世俗に塗れてるな……。そういえば、今年はどんな願い事を叶えたんだ?」
「また後学のため? しょうがないなぁ。
個人情報は伏せるけど、かわいらしいものなら。
『秘密の日に、彼に秘密がばれますように』って願ってた女の子と、隣に『秘密の日に、彼女の秘密が分かりますように』って願ってた男の子がいたので、一石二鳥ってことで叶えました。
裏手で上司が壁殴ってたけど」
「そりゃ、殴るだろうな」
「愛憎ってこわいよね。行き遅れてるから余計に。それより、お腹減ったー」
「おう、そろそろ出来るぞ」
「なになに?」
「七草粥だ」
「……おせちは? お雑煮は?」
「もう九日だぞ。あるわけないだろ」
「そんなあ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます