タイム イズ ブラザー

「なあ、兄貴みなかったか!?」


「いや、知らないけど」


「くっそう、もうここを通り過ぎてたか……わかった、ありがとう!」


「お、おう。どういたしまして……」


(いったいなんだったんだ…)


「なあ、兄貴ここに来なかったか!?」


「なんで二回目? しかも向かった方向の逆方向から来るってめんどくさいことするなぁ」


「二回目? 何を言ってるんだ、お前」


「いや、さっき同じ言葉で言ってたじゃん。兄貴みなかったか、って」


「いや、今日ここにきたのが、これで初めてなんだが」


「……どういうこと?」


「俺にもわからないんだが……」


「? ともかく、ここにお前の兄は来てないよ」


「そ、そうか、ありがとう!」


「どういたしまして……?」


(一体全体なんだったんだ?)


「「なあ、兄貴を見なかったか!?」」


「二人?!」


「「なんで俺が二人?!」」


「知るかよ!」


「くそ、兄貴を」「追おうとして」「少し早く」「走りすぎたか」


「器用だな、二人で分割喋りとか! あとここら辺の因果律を返してください!」


「「しかし、これだけ早く移動しているのに、なぜ兄貴は見つからないんだろう」」


「しらねぇよ! はよ三人目来る前にどっかいけ!」


「「わ、わかった」」


(なんでいきなりタイムパラドックス空間になってるんだここは……あ)


「もしかして、あいつの兄貴、早すぎて……」


「時間という概念さえも追い越してしまったのか?」

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