サミュの図書館 有澤いつき様

執筆状況: 完結

総文字数: 9万字ほど

一話あたり: 2千文字前後

要素: 図書館、オムニバス


【あらすじ】

 本の修復。それは破れたり壊れた部分を直すという物理的なもの以外に、本の負の感情を取り除くことをいう。

 技術が必要なそれを出来る修復士サミュエル。その助手をしているセレスティーヌ。怠惰でのんびりした修復士と真面目できっちりした性格の助手。真逆ともいえる2人だが、同じ本を向き合うことで次第に自分自身のことへも向き合うことになる。


【独り言】

 読書好きならこの世界に入ってみたい。そう思うことは一度くらいあるんじゃないでしょうか。そんな夢を現実のものとしてくれるのがこの物語の修復士の力です。しかし、ただ旅行にいく。なんて単純なものではなく、本が汚れてしまった原因を探り、それを取り除かなくてはいけません。

 お気楽なものではない。そう分かっていますが、やはり本の中に入って世界の一部を体感できるっていうのは魅力的に感じます。あのキャラクターが目の前で動いてしゃべってる! って私だったら大興奮ですね。


 修復士のサミュエルさんは仕事。そう思っているところがあるため、そうでもないですが、セレスティーヌちゃんは本好きです。そのために共感できる部分が多々あり、豊かな感情表現にも愛着を感じます。

 サミュエルさんが動じないマイペースな性格をしている分、差が大きく、良い組み合わせだなあと楽しく読むことが出来ました。


 一つの本と向き合うにつれて深まっていく関係性。それってとっても素敵です。関係萌えなので、お互いのことを知って距離が深まる描写がとっても美味しい!


 サミュエルさんと立場、考え方の違いがハッキリでていたアルベールさんも良い味だしていまして、物語を盛り上げてくれます。 

 えっ君そういう方向いくの。ちょっと。って思いました。ライバルポジションでいくのかなと思っていたので、良い意味で裏切られました。あの憎めないキャラクター性。悔しいけど癖になります。

 どうぞお幸せに!


 個人的に吹っ切れた後のサミュエルさんが好きですね。前半部分ののんびりした空気がガラリと変わって、セレスティーヌちゃんが手を引いて歩いていた感じなのに、いつの間にか立場が逆転しているという。

 えぇ、美味しい。可愛い……。素敵とニヤニヤしながら読みました。

 多くは語られていませんが、セレスティーヌちゃんの問題に関してもネームプレートを見る限り決着がついたのかなあと。

 2人仲良く、これからもたくさんの本を治していってほしいものです。


https://kakuyomu.jp/works/1177354054882186549

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