進軍
ルカがもといた国、ペルグランデの兵隊が陣をなしてサピエンティアに向かって移動する。
その軍にはアイクも編入されていた。
「ルカ…絶対取り戻す…」
ルカが優秀な人材であることは確かだった。それなりの罰を受ければ軍に戻れる可能性も残っている。
アイクはルカの無事を祈って歩き続けた。
「こんな子たちは知らないよ。」
途中で通る村の人にルカとアヴェルスの写真を見せるが、知らないの一点張りだった。
それでも軍人たちは先へ歩いた。
「そっちは行かない方がいいよ〜。食われるからねぇ〜」
おばあさんの声に隊長が振り向く。
「今何と?」
「だから、そこから向こうはウルラの民がうろついてるんだよ。あんた達なんか食われちまうよ。」
「ウルラの民だと?」
「なんだい、知らないのかい?人を食らう者達だ。」
「食人族か。恐るに足らん。進め!」
「せいぜいノヴァ様が助けてくれるといいね〜!」
おばあさんの声に兵士たちは誰一人として耳を貸さなかった。
そして森へ入っていく。
「うわぁぁあ!!」
「何事だ!」
突然1人の兵士が倒れた。
その背には矢が刺さっている。
「誰だ!」
「ぐはぁ!!」
次々と兵士が倒れていく。
「全員走れー!」
隊長の声で隊列を崩して走り出す。
その先に高い山が聳えた。
青白く輝く線を越えようとした兵士たちが次々に弾き飛ばされていく。
その中でアイクだけは結界の中に入れた。
「え?あ、痛っ!!」
アイクが
「…ん、すまない。こうしないと、人の言葉は上手く話せなくてな。」
「あっ!お前!!隊長を殺したやつ!」
「…ノアを傷付ける者は許さない。ノアは友達だ。」
ノヴァが渋い顔をして言う。
「こいつらはなんだ。」
「何って…ペルグランデ軍だけど…っていうか!ルカはどこだ!!」
「…知らない。ノアと何処かへ行ってしまった。」
「方向とか知らないのかよ!」
「教えない。ルカは運命を変えると言っていた。なら自分はそれを見てみたい。だから教えない。…ノアには罰を受けて戻ってきてほしいが…」
ノヴァが少し悲しげな顔をする。
「俺たちはアヴェルスに罰を与えに行くんだ!あんたの目的と一緒だろ!?」
「違う。お前達は2人を殺そうとしてる。自分は2人に死んでほしくない。一緒にするな。」
ノヴァはそのまま踵を返した。
「聖域には入れない。先へ行きたいなら回り込め。この前来たやつは聖域を穢した。人間はロクでもないやつが多い。…ルカを除いてな。」
それだけ言い残すと、ノヴァはすっと消えた。
それと同時にアイクが結界の外に弾き出される。
「うわ!」
「全員、山を回り込め!西へ向かえ!!」
『おぉーー!』
隊長の指示に従って兵士たちはお山を回り込んで西へと向かっていった。
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