昔話
昔、ここら一帯はノヴァ様という神様が治めていてね。
ノヴァ様は食人族を2匹の使いにまとめさせていたのだよ。
狼と梟にね。
何故その2匹かって?何故だろうねぇ。
ノヴァ様は食人族の神だが、人が好きだったんだ。
だから彼らに命じたのさ。
人を食わず、人の血を食らえと。
それはまぁ大騒ぎになった。
そこでノヴァ様に従ったのが狼の取りまとめるルプスの民だった。
そして梟の取りまとめるウルラの民は反逆して人を食い続けた。
ルプスの民はノヴァ様の加護を受けて、ノヴァ様のお膝元のお山に置かれた。
そこは聖域と呼ばれて、ウルラの民は入れなかったんだ。
ただ、ルプスの民の中でも我慢できず人の肉を食べるものもいた。
彼らは堕ちたと言われてウルラの民になったそうだ。
この村はノヴァ様のお山に近いからね。
時々ルプスの民が遊びにきていたそうだよ。
ウルラの民は人も、ルプスの民も、ノヴァ様も憎んで、聖域を侵そうと、何度も侵攻した。
でもその度にノヴァ様の力で追い出された。ルプスの民もノヴァ様のために戦っていたようだね。
伝え聞いていたのはこの程度しかないけれど、噂では数ヶ月前に突然ルプスの民が消えたそうだよ。
ウルラの民がまたノヴァ様のお山に入ろうとしているらしい。
ウルラの民に堕ちたらもう2度と戻れないかって?
さぁ、戻ったルプスの民がいるとは聞いたことがないねぇ。
なんでも血が穢れるらしいよ。
血といえば、森の民の血は穢れを浄化するとか。
まぁ、森の民はもう残っちゃいないけど。
これも噂だけれど、森の民の血を引く人たちが何処かに残ってるとか。
本人たちに自覚はないだろうけど。
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