第13話 渦中の人は弟君です。
クラス委員長の
その、ぽっちゃり系美女の藍がつかつかと近寄って来て、スマホの画面を俺に向ける。
「ねえ、この変態って緋色の事でしょ?」
それは昨日、ツブヤイターに投稿したアレだった。『僕は会長のポニーテールが大好きだ……』云々。
「ええっと……」
「図星か。アンタの反応はわかりやすいからね」
やはりバレていたか。しかし、ここであからさまに肯定するのは不味い気がする。黙秘権を行使すべきかどうか、いや行使すべきだろう。
「で、彩花様と何を企んでるの?」
「いや、何も……」
「嘘。アンタがあんな内容の投稿するなんてありえないし、それに対して彩花様が即反応してるのも変。同じ部屋でタイミングを合わせて投降したみたいなのよね」
「何の事?」
「だから、アンタと彩花様は相互フォローでもない。それなのに彩花様が直ぐに引用RTしてるのが変って言ってるの」
「変なの?」
「そうよ。変。だってさ。ツブヤイターって、フォローしてないユーザーの情報って、ある程度バズってないと見れないの。彩花様が常にエゴサしてるならわかるけど、あの人そんなに暇じゃないでしょ」
「エゴサって?」
「自分の
「そうなの?」
「そう。アンタと彩花様は何か関係がある。さっきも校門で何かやってたでしょ。レインのクラスグループの中でさ、アンタと彩花様と椿姫の三人がくっついてる画像がupされてるのよ」
藍がスマホを操作して画像を表示させた。それは先ほど、俺たち三人が校門付近でかなり接近している画像であった。
「これ、くっつきすぎでしょ? 椿姫の、あのロケットおっぱいがアンタにくっついてるんじゃないの? 彩花様の美乳もくっついてるよ。ほら」
「む、胸はくっついてない。断じてない。でも、制服がわずかに擦れたかもしれないけど」
俺は必死で弁解した。椿さんの胸も彩花様の胸も俺に触れていない。俺はいけないと思いつつも、その柔らかい膨らみが腕に接触するのではないかと神経をとがらせていたからだ。これは間違いない。ちなみに、椿さんは学園内では椿姫と呼ばれている。
「アンタと幼馴染で世話焼きの椿姫はともかく、彩花様がアンタに接近してるのが腑に落ちないんだよな。お? 新着? 告白されただと?」
スマホをいじっている藍が画面を凝視する。そこには、俺が年上美女二人から告白されたと書き込まれていた。
「緋色、本当なのか? これは事情聴取が必要だな」
藍がずいっと近寄ってくる。彼女の目は笑っていない。
本気だ。本気で事情聴取するつもりだ。
「おーい。宮野坂と竹内、席に着けよ。朝から乳繰り合ってるんじゃないぞ」
担任の
「先生。今のはセクハラ発言ですよ。もう、えっちなんだから」
「そうだったかな。スマンスマン」
体育教師らしく朝っぱらから元気が良い。そして、藍も冗談だと理解しているようで、ニコニコ笑っている。
待て。そう言えば、彩花様の戦う相手ってのは、確か
つまり彼女達にかかれば、先程の
とりあえずは先生のおかげで藍の追求を逃れることができた。しかし、このまま逃げ続けることは難しい。いっそ事情を正直に話して仲間になってもらう方が得策なのかもしれない。
俺は授業中にもかかわらずスマホを操作し、彩花様へメールを送った。内容は、藍に例のフェミ協会の件を話してよいのかどうか。そして、彼女がその気なら仲間になってもらうのが得策なのではないかと。
授業中にもかかわらず、直ぐに返事が来た。
「オッケーよ。私からお話します。お昼休みに、二人で生徒会室に来てね♡♡♡」
最後のハートマークの意味は何なのだろうか……。俺はその件について詮索しない事にした。
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