第10話 思考停止

 ゲームする思考停止の魂は 

      あれも食いたし これも食いたし


 ギャンブル、特にパチンコ店に一日いる人、

 ゲーム、特に家で一日過ごす人を私は密かに尊敬している。

 失業や失恋した時、何も考えたくなくて、テレビゲームにはまった。

 やりはじめると楽しい。


 隠れてすれば大丈夫だと、小学生からパチンコ店に連れていかれた。

 お子様はご遠慮下さ何が面白いのか分からなかった。

 一台より二台、どちらかが出れば有りがたいという父の浅ましさだろう。


 20代に一人でパチンコ店に出入りするのに抵抗がなかった。

 パチスロの方が儲けがいい。

 

 ギャンブル依存症。よく怒鳴られて育った自尊心の低い人が陥るという。

 私も例外なく依存した。

 お金がすぐに無くなる。

 給料の半分を一日で費やしたこともある。

 買い物依存症の方が後で品物が残る。

 少し後悔し始めていたころ、テレビゲームが流行る。 

 家でも存分に楽しめ、興奮した。

 嫌なこと、ストレス発散のためのゲーム。

 失業中、一日八時間はゲームをする。

 生きる屍。

 目的もなく、目標もない人生に非現実の中で達成感を味わう。

  

 時々、思考力が止まる。

 今何時だろう?働いていないのにお腹がすく。

 お寿司、焼肉、アイスクリームが恋しい。

 働かざる者食うべからず。


 働くとは賃金を得ることだ。

 ゲームを、またパチスロを一日するのは、かなり疲弊した。

 事務仕事を八時間するより大変だ。


 ならば、確実に稼ぐことができる仕事につく方が楽だと思った。

  

 パチプロ、ゲーマーと呼ばれる人達はある意味スゴいと実感した。

 私はすぐに職探しをした。

 この時ばかりは、パチンコを教えてくれた非常識な父に感謝した。

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