ギモンだらけの中島さん 高校編！

第19話 キュウリ

中島さん『キュウリって何？』

寺野くん『え？』

僕の名前は寺野かずお、いたって普通の男子高校生です。

隣の席の中島さんは、今日は【キュウリ】について疑問があるようです。

中島さん『キュウリって何なの？』

寺野くん『え？…野菜、なんじゃないっすか…？』

中島さん『違うよ！んなこたーわかってますよ‼』

寺野くん『だ、だよね？キュウリが野菜だというのはわかってるよね？』

中島さん『そうじゃなくて！キュウリっていう野菜の存在が何なの？っていう事！』

寺野くん『キュウリっていう野菜の存在？』

中島さん『そう！キュウリって、野菜の中では【２軍】の野菜じゃない？』

寺野くん『メジャーな野菜じゃないっていう事？』

中島さん『たとえばさ、大根・ニンジン・ナス・トマト・とかの野菜と比べたら、

　　　　　キュウリって何か影が薄い野菜の様な気がしない？』

寺野くん『う、うーん…野菜に対して、そういう考え方とかしたことないし…』

中島さん『だから私ね！昨日キュウリについて色々と調べてきたの！』

寺野くん『そ、そう…（調べ始める理由がよくわかんないなぁ…）』

中島さん『まず、キュウリは漢字では【胡瓜】と書きます！

　　　　　そして英語では【キューカンバー】と呼びますよ！』

寺野くん『う、うん。教科書で見たことあるけど…』

中島さん『きゅーかんばー！きゅーかんばー‼』

寺野くん『また始まった…

　　　　　中島さん、気に入った言葉を２回繰り返して叫ぶのをやめようよ…』

中島さん『あと知ってる？キュウリって【世界一栄養が無い野菜】として

　　　　　ギネスブックにも載ってるんだって！』

寺野くん『あー何か聞いたことあるかも…キュウリってほとんどが水分なんだよね』

中島さん『それどころかキュウリには

　　　　　ビタミンCを壊しちゃう酵素が含まれてるらしいよ‼』

寺野くん『そ、そうなの？じゃあキュウリって

　　　　　栄養価としてはマイナスの野菜だったりするの？』

中島さん『いや、キュウリそのものには栄養は含まれてるらしいよ！

　　　　　キュウリの【カロチン】や【ビタミンA】は

　　　　　セロリの半分ぐらい含まれているらしいよ！』

寺野くん『…その説明だとセロリの方が栄養があるから、

　　　　　キュウリがさらに影の薄い野菜になっちゃうよ…』

中島さん『うーん、やっぱりキュウリはマイナーな野菜なのかなぁ…』

寺野くん『でもよく食卓に出てくる野菜だとは思うけどね、

　　　　　お祭りとかでもキュウリの一本漬けとか売ってたりするし、

　　　　　【きゅうりのキューちゃん】とかも僕は好きだけどね』

中島さん『キューちゃん？おばけのQちゃん？高橋尚子？

　　　　　それともハイキングウォーキングの鈴木Q太郎の事？』

寺野くん『し、知らないならいいよ…あとはなんだろう、【カッパ巻き】とか？』

中島さん『カッパ巻きって何でキュウリがメインなのにカッパの名前なの？

　　　　　別に【キュウリ巻き】でも良くない？

　　　　　何でキュウリの名前がなくなっちゃうの？』

寺野くん『キュウリはカッパの大好物だから…』

中島さん『カッパって実在するの？カッパ見たことあるの？』

寺野くん『な、ないですけど…』

中島さん『うーむ、納得いかん！』

寺野くん『で、でも畑で獲れたての新鮮なキュウリとか美味しいと思うよ？

　　　　　となりのトトロでもメイちゃんが美味しそうに食べてたし！』

中島さん『となりのトトロではトウモロコシが目立ってたよ！

　　　　　キュウリは後半は出てきてなかったよ…』

寺野くん『あぁ…そういえばそうだね…』

中島さん『私はキュウリという野菜をメジャーな野菜にしてあげたいよ！』

寺野くん『そ、そうですか…また変なこと言いだして…

　　　　　それで、中島さんは具体的にキュウリをどうしたいの？』

中島さん『うーん…キュウリの野菜以外としての活用法って何かないかな？』

寺野くん『そうだなー、パッと思いつくのは、

　　　　　お盆になるとキュウリとナスに割り箸を刺して足を付けて

　　　　　牛と馬の形にして家の外に飾ったりするよね。

　　　　　あとは何だろう？昆虫の餌にすることが多いかなぁ？』

中島さん『私のお母さん、顔にキュウリパックやってたよ！』

寺野くん『あと、猫の背後にキュウリを置いて、

　　　　　そのキュウリに気付いた猫がびっくりして飛び上がる動画も

　　　　　よく見たりするけどね』

中島さん『…キュウリって食べ物として以外だと変な使われ方してるね』

寺野くん『た、確かに…』

中島さん『キュウリの野菜以外としての良い使い方って無いかなぁ？』

寺野くん『べ、別に、無理に野菜以外としての使い方を

　　　　　考える必要もないと思うけど…』

中島さん『…うーん、きゅうり…キュウリ…きゅーかんばー…』

寺野くん『（なんか変なこと考えなきゃいいけど…）』

中島さん『そうだ！【バトン】にしよう‼』

寺野くん『へ？バトン？バトンリレーのバトン？』

中島さん『そう！キュウリをバトンとして使うんだよ！』

寺野くん『な、何のために？』

中島さん『バトンリレーのためにだよ！』

寺野くん『バトンを使えばいいじゃない！』

中島さん『それじゃ今まで通りじゃん！キュウリをバトンとして使いたいの！

　　　　　だってバトンとキュウリのサイズって同じくらいで使いやすそうだし！』

寺野くん『な、なんの意味が…』

中島さん『よし！寺野くん！校庭に行くよ‼』

寺野くん『えぇ？ちょ、ちょっと待ってよ中島さん‼』

中島さんは教室を飛び出して校庭へと走って行ってしまいました…

そして、校庭に着いた中島さんと寺野くんは

キュウリを使ってバトンリレーを始めました…

中島さん『よーし！キュウリでバトンリレーやってみよう‼』

寺野くん『いつの間にキュウリ用意したの？』

中島さん『まぁ細かいことはいいじゃん！

　　　　　じゃあ寺野くん！私のキュウリのバトン、受け取ってね！』

寺野くん『ぼ、僕が中島さんのキュウリのバトンを受ければいいんだね…？』

中島さん『よし、じゃあスタート‼』

中島さんは寺野くんから20メートルほど離れた場所に移動してから、

キュウリを手に持って寺野くんの方へと全速力で走り始めました‼

中島さん『ぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお！』

寺野くん『う、うわぁ、中島さん意外と足速いなぁ…』

中島さん『おおおおおおおおおお‼はい、寺野くん、パス‼』

と、中島さんは寺野くんにキュウリを渡そうとしましたが、

手元が狂ってしまい、

中島さんは寺野くんの顔面をキュウリで思いっきり、ぶん殴ってしまいました‼

キュウリは寺野くんの顔面にぶち当たり、粉々に砕けて飛び散ってしまいました‼

そして、そのまま寺野くんは、その場に倒れ込んでしまいました…

寺野くん『ぐ！ぐふっ‼』

中島さん『あ！ゴ、ゴメン！』

寺野くん『あ、ああ……意識が遠のいてゆく………』

中島さん『寺野くん？大丈夫？死んじゃ嫌だよ！寺野くん！寺野くん‼』

…中島さんにキュウリで顔面を殴られた寺野くんは

そのまま保健室行きとなりました…良い子は食べ物で遊んではいけませんよ……